「五輪で本物の空手を示したい」沖縄出身・喜友名諒の“特別な思い” (2/3) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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「五輪で本物の空手を示したい」沖縄出身・喜友名諒の“特別な思い”

竹園隆浩週刊朝日#2020東京五輪
「アーナンダイ」を演武する喜友名諒 (c)朝日新聞社

「アーナンダイ」を演武する喜友名諒 (c)朝日新聞社

空手が東京五輪の追加競技に決まり、笑顔の喜友名諒(左から2人目)ら選手たち=2016年8月 (c)朝日新聞社

空手が東京五輪の追加競技に決まり、笑顔の喜友名諒(左から2人目)ら選手たち=2016年8月 (c)朝日新聞社

 喜友名が空手を始めたのは5歳だった。近所の友達が空手を習い始めたので、「自分も」とせがんだのがきっかけという。

 沖縄ではそれが普通の光景だ。

 大きな転機になったのは劉衛流との出会い。中学3年で現在の師である佐久本嗣男氏に師事することになる。佐久本氏は、1984、86、88年と世界選手権の形で3連覇している。沖縄の伝統空手の一つだった劉衛流を世界の中心に押し上げた第一人者だ。

 この流派は、始祖が中国・清朝の武官養成所首席師範だったと伝わり、中国拳法の原理があちらこちらに見られる。例えば、喜友名が得意としている演目の「アーナンダイ」では、「貫手(ぬきて)」と呼ばれる指先を真っすぐ伸ばして相手の急所を突く技が、演武の中に多く取り入れられている。

 加えて特徴的なのが、防御と攻撃を一体化させたジグザグな足の運びだ。

 形の攻撃の場合、正面に出るのが普通の動きだが、まず攻めてきた相手の動きを斜め前に出ながら受けて、そこから間髪入れずに攻撃に転じ、すかさず貫手などの技を出していくわけだ。ひざを柔らかく使い、細かい動きの一つひとつに、意味を込める。

 これらの演目を、喜友名は持ち味の力強さを生かして演じきる。

 佐久本氏に言わせると、それは強靱な身体能力から生まれる。

「あの腕力を見てくださいよ。下半身が強いから、あれだけ上体が振れるわけでしょう。上半身に下半身が負けていない。彼の太ももを見てください。こんな太い。トレーニングしていますよ。見ていてほれぼれする下半身。あれに蹴られたら人はひとたまりもない」

 相手と実際に対戦する組手と違って、形は相手を想定して決められた動きを一人で披露する。それだけに審判員、観客の印象も大事だ。喜友名の海外でのニックネームは「歌舞伎」。彫りの深い顔立ちで、目を見開いて気合を込める姿から、そう呼ばれるそうだ。力強い腕と足、そして眼力。それらがそろって、あの世界最強の迫力ある演武は誕生している。


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