出版社を早期退職した64歳男性が、時給1000円のマンション管理人になるまで (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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出版社を早期退職した64歳男性が、時給1000円のマンション管理人になるまで

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井上理津子週刊朝日#働き方
※写真はイメージです (Getty Images)

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「人生100年時代」をどう過ごすか。総務省調べによると、昨年の65歳以上の就業者数は862万人。就業者総数の12・9%と過去最高になった。どんな仕事に就いたら、満足度の高い第二の人生を送ることができるのか。現役時代と全く違った分野に飛び込んでしなやかに活躍する人たちもいる。

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 専門職でなくても心地よく働くことはできる。マンションの管理人になった川田敦夫さん(仮名、64=八王子市)は、「総合的に考えて、今の自分にベストな仕事です」と語る。

 川田さんが管理人を務めるマンションは、横浜市内の閑静な住宅地にある。7階建て、88戸。築35年。高齢の住民が多い。

「コミュニケーション力が必要とされます。住民から『暑いですね』と声をかけられると同じ言葉を返して共感することが大切。個人情報を聞いてはいけないというコンプライアンスを守り、空気を読み、ちょっとした会話のおつきあいをする。会社員時代の経験が生かせる、いい仕事です」

 そう思うのには二つの理由がある。一つは54歳で出版社を早期退職して10年、求職の大変さを業務上で実感した末に得た“居場所”であること。もう一つは時間的にも肉体的にもラクで、少年野球のコーチを続けるのに支障がないこと。

 出版社では営業職だった。「いい時代にいい仕事ができた」が、早期退職を選んだのは、片道切符で子会社に出向するより、「エグゼクティブ転職」に魅力を感じたから。着々と準備し、退職翌月に再就職支援会社に再就職を果たした。

 国家資格キャリアコンサルタントを取得。大手企業の閉鎖される事業所勤務者と、求人会社をマッチングさせ、両者納得の結果を出すのがミッションだった。

「求職者は自分を高評価するが、求人会社側は低評価する」という現実をまざまざと見た。報酬は、出版社時代より微減程度。地方転勤を経て、東京へ戻ると、通勤に片道1時間半以上かかり、疲労困憊した。

 そんな中、大病を患った。手術して回復したが、「通勤時間の短い職場に変わり、身を守ろう」と思うようになり、62歳で退職。失業保険の手続きに通ったハローワークで、自宅からも近い別のハローワークの求人を見つけた。給料は格段に下がるが、前職が生かせ、残業がない。契約職員に採用され、企業への求人の依頼や求職相談の業務に就いた。


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