都内の湾岸地区には多くのタワマンがそびえ立つ  (c)朝日新聞社
都内の湾岸地区には多くのタワマンがそびえ立つ  (c)朝日新聞社
東京五輪に向け都内ではタワマンの建設ラッシュが起きていた=東京都江東区 (撮影/多田敏男)
東京五輪に向け都内ではタワマンの建設ラッシュが起きていた=東京都江東区 (撮影/多田敏男)

 今や首都圏の新築分譲マンションの4分の1がタワーマンション。豪華共用施設に囲まれた生活はさぞ快適だろうが、管理にはお金がかかる。定期的に必要な大規模修繕工事となると費用が10億円を超えることも珍しくない。これからタワマンの修繕ラッシュが始まる。住民はもちろん、購入検討者もチェックが必要だ。

【写真】東京五輪に向け都内ではタワマンの建設ラッシュ

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「(竣工[しゅんこう]後)1~5年4920円(月額) 6~10年4920円 11~15年1万190円 16~20年2万2510円」

 東京・湾岸地区、あるタワーマンション(タワマン)の「修繕積立金一覧表」。約70平方メートルのファミリータイプの欄には、こんな数字が並んでいた。

 タワマンに限らずマンションに住むと、一定期間ごとに行われる大規模修繕工事(以下、大規模修繕)に備えてお金を積み立てる。その毎月の金額の推移を示す数字だ。

 このタワマンでは最初の10年間は同額だが、その後5年ごとに上がっていく。1平方メートル当たりの単価を計算すると、69円→143円→316円と、年が経つほど上がり方が急だ。この積立金とは別に、1平方メートル当たり約1万4千円、このタイプだと約100万円になる「修繕積立基金」も購入時に拠出している。

 日常のメンテナンス費用である「管理費」も毎月支払う必要があり、積立金と管理費を合わせるとかなりの出費になる。それが年数が経つほど、どんどん高額になっていく構図だ。

 大規模修繕では、外壁塗装や防水、窓などとコンクリートのつなぎ目のシーリング材補修など、大掛かりなメンテナンス工事がマンション全体で行われる。一般のマンションでは約12年ごとに、タワマンだと約15年ごとに必要とされる。

 別の1千戸を超す大規模タワマンの「長期修繕計画」。1平方メートル当たり月額約100円の修繕積立金は30年先まで同額だ。つまり、先の例のような値上げは予定されていない。しかも、安い。

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首藤由之

首藤由之

ニュース週刊誌「AERA」編集委員。特定社会保険労務士、ファイナンシャル・プランナー(CFP🄬)。 リタイアメント・プランニングを中心に、年金など主に人生後半期のマネー関連の記事を執筆している。 著書に『「ねんきん定期便」活用法』『「貯まる人」「殖える人」が当たり前のようにやっている16のマネー 習慣』。

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