ボールを運ぶ千葉ジェッツふなばしの富樫勇樹(右)にプレッシャーを与えるSR渋谷の関野剛平=Bリーグ提供
ボールを運ぶ千葉ジェッツふなばしの富樫勇樹(右)にプレッシャーを与えるSR渋谷の関野剛平=Bリーグ提供
SR渋谷に新加入したセバスチャン・サイズ(左)=Bリーグ提供
SR渋谷に新加入したセバスチャン・サイズ(左)=Bリーグ提供
週刊朝日ムック「B’ 2019-20 B.LEAGUE×井上雄彦」。井上雄彦さんがBリーグ29選手を描いたポスター付き!
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 ワールドカップの国内開催でラグビー人気が高まっているが、バスケットボールも負けてはいない。10月3日にBリーグが開幕。4年目となる今年は、強豪チームが敗れるなど波乱の幕開けとなった。

 第1節(3~7日)では、B1(1部)の18チームが同じ相手と2試合を戦った。注目されたのはサンロッカーズ(SR)渋谷対千葉ジェッツふなばし。まず5日の試合は、40-43の千葉リードで前半を折り返したが、その後猛反撃。

 SR渋谷は第3クオーターにセバスチャン・サイズのダンクを含む3連続得点や、杉浦佑成の3連続3点シュートが決まり、70-58と逆転した。第4クオーターに千葉は追撃するものの及ばず、SR渋谷が88-80で勝利した。千葉から白星を挙げるのは2017年12月以来、約22カ月ぶりだった。

 6日は、前半は38-36でわずかにSR渋谷がリード。第3クオーターにSR渋谷は関野剛平や田渡修人が得点を重ねて10点差をつけ引き離した。第4クオーターの千葉の猛追を振り切って、83-78で連勝した。

 敗れた千葉には、日本代表で日本人選手初の1億円プレーヤーでもある富樫勇樹がいる。この富樫を中心とした攻撃力が千葉の強さだ。B1は18チームを東、中、西の3地区に分けて順位を争うが、昨季の千葉はレギュラーシーズン(リーグ戦)52勝8敗と驚異の勝率を打ち立て、東地区1位。トーナメント形式で優勝チームを決めるチャンピオンシップでは2年連続準優勝となった。

 これに対しSR渋谷は、昨季のレギュラーシーズン28勝32敗の東地区5位。7月に現役引退を発表した元NBAプレーヤーのロバート・サクレをはじめ、昨季のメンバーから半数が入れ替わった。新たに加入したのが前出のサイズや関野、田渡、そして昨季は千葉でリーグ3ポイント(3点シュート)王に輝いた石井講祐や、渡辺竜之佑だ。

 この試合を解説した元日本代表の外山英明さんは、SR渋谷の勝因をこう語る。

「2試合とも続けてディフェンス(守備)が昨シーズンとちがった。(司令塔の)富樫にも、外国人選手にも、オールコートでついてプレッシャーを与えていた」

 特に富樫への対策は徹底していた。
「オールコートでずっとつくことで、(楽にボール運びをさせずに)富樫から余計な体力を奪えますよね。加えて、(SR渋谷の攻撃では)渡辺が富樫とのミスマッチ(身長差)を突いてプレーしていました」

 身長167センチの富樫に対し渡辺は189センチ。この身長差を利用して勝利に貢献していたのだ。

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SR渋谷の救世主だと指摘されるサイズ