芦田:小学校3、4年とか、もっと小さいときは、やっぱり古典って難しくて、わかりづらいというイメージがあったんですけど、「高瀬舟」(森鴎外)を読んで、すごくおもしろいと感じて、それから古典にも挑戦したいなと思うようになりました。

林:「高瀬舟」を読んで、暗いとは思わなかったんだ。

芦田:暗いというか、いろいろとすごく考えさせられました。

林:そうなんだ、考えさせられたというのがすごい。村上春樹さんにももう出会ってしまったんですね。初めて“春樹体験”したのはいつだったんですか。

芦田:中学1年か2年のときです。そのときけっこう話題になっていた本があって、村上春樹さんはハードルが高かったんですけど、挑戦してみようと思って読みました。

林:愛菜ちゃんはいま中学3年生ですけど、中学1、2年生のころ話題になっていた本というと……。

芦田:『騎士団長殺し』です。

林:村上春樹さんの小説って、日常の中に突然、非日常が出てくるでしょ。ふつうの小説だと思って読んでいくと、突然「えっ?」みたいなことがあるけど、それはすんなりと受け入れられたんですか。

芦田:最初はけっこう戸惑いましたけど、逆にそれがおもしろくて、新しいジャンルの本に出会えたというか、すごく読みごたえがある本に出会えたなと思います。

林:『騎士団長殺し』は2分冊の長編ですけど、トルストイとか、そういう長編にも挑戦してるんですか。

芦田:トルストイは、サラッと読んだことはあるんですが、外国文学はまだなかなか……。

林:『楡家の人びと』(北杜夫)は?

芦田:はい、それは読んだことがあります。

林:『ジェーン・エア』とか『嵐が丘』とか、必読書というべき古典をちゃんと読んでいるのも素晴らしいし、びっくりしました。『ジェーン・エア』とか『嵐が丘』を読みながら、こんな恋愛、素敵だなとか、恋愛への憧れを募らせたりするんですか。

芦田:そうですね。この本(『まなの本棚』)をつくるときに本を読み直したんですけど、『あしながおじさん』を小さいころ読んだときには、ラブストーリーなんてぜんぜん思ってなかったんです。でも、いま読むと、すごく素敵な恋のお話だなと思って。でも最近ですかね、そういうふうに思えるようになったのは。

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