林:本に出てくる人と、自分もこんなふうに恋愛してみたいなって思ったりすることは?

芦田:本の中の人たちがうまくいったらいいのになとか、素敵だなとかは思うんですけど、あんまり「自分が」という感じにはならないかもしれないです。

林:そうなんだ。まだちょっと早いのかな。2、3年してまた読むと、ちょっと違ってくるかもしれない。愛菜ちゃんが本を読んでいて、「この子、私だ。これって私のことじゃない?」と思うことってあります?

芦田:自分と重ねて読むというよりかは、私は本を映画とかドラマみたいに感じているというか、どこか遠く離れたところから見てる感じなので、これは自分だなと感じることはあんまりないんです。

林:それはふつうの女の子の読み方とはちょっと違いますね。私は『あしながおじさん』を読んだときに、どうしてもアメリカの寄宿学校に行きたくてたまらなくなっちゃったんですけど、そういうことはなかったですか。

芦田:そういう憧れは生まれますし、「こんなことがあったらいいな」という妄想を広げてくれるのが本の世界だと思うんです。「ああ、こんなことできたらいいな。でも、できないだろうな」って思うので、本で疑似体験をしようと思ってるのかもしれないですね。

林:私は『赤毛のアン』を読んだときに、物語の舞台になっているプリンスエドワード島にどんなことがあっても行きたいと思ったんです。

芦田:私も『赤毛のアン』を読んだときは、すごくプリンスエドワード島に行きたいなと思いました。でも行くと自分がイメージしている街並みが崩れちゃったりすることもあるのかもと思うと、「本は本の世界のままであってほしい」という思いもあったり……。でも実際にそこに行ってみたいなという気持ちはありますね。

林:私、大人になってから、雑誌のグラビア企画でプリンスエドワード島に行ったんです。確かに本の世界の景色が広がってたんだけど、退屈で退屈で(笑)。島じゅう牛と奇麗な家しかないの。どこを見てもずっと同じ景色がある感じで、「えー、こんなのか」って(笑)。

次のページ