林:「朝の10分間読書運動」で小学校のときまではみんな本を読んでくれるんだけど、中学校になってスマホを手にするようになって、世界とつながっておもしろいものが次から次に出てくると、本なんて読まなくなっちゃうんですよね。

芦田:私にとって本は、ゲームとかインターネットの世界に触れるよりも先に出会っていて、自分にとっていちばん近くにあるものだったんです。本がない人生なんて考えられないというぐらいで、私はすぐ本に手が伸びてしまうんですけど、確かにゲームも楽しいですよね。そこが難しいですね。

林:『まなの本棚』は、愛菜ちゃんが好きな84冊の本を取り上げて、その本との出会いについていろいろ書いてますけど、その中に私の本(『本を読む女』)も入れてくださってうれしいです。愛菜ちゃんは、『ぐりとぐら』とかふつうの絵本から読み始めて、小学生になってからいろんな児童書を読んだみたいで、こういう本に出会わせたご両親が素晴らしいと思う。本をたくさん読み聞かせてくれて、たくさん買ってくれて。

芦田:小さいときから両親が図書館から本を借りてきてくれて、常に身近に本があるという環境をつくってくれて、そのことには両親にすごく感謝してます。

林:わりと大人っぽい本も子どものときから読んでいて、『細雪』も、もう読んじゃってるんですね。いくつのときに読んだんですか。

芦田:『細雪』は小学校6年生です。

林:えっ、小学校6年生!? 「こんなのまだ早い」とか言われなかったんですか。

芦田:そういうことはあんまりなかったですね。けっこう自由に本を選ばせてくれて、私が選んだ本に対して何か言われたことはないです。

林:読んで理解できました?

芦田:そのときはちゃんと理解できていなかったんです。でも、あとから読み直してみると、違うふうに感じたり、考え直したりする本もたくさんあって、それはそれで本の新しい楽しみ方だなと思ってるんです。

林:なるほどね。

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