転倒したときには、頭を打っていないか自分でも意識することが大切。

「例えば、転んで頭とお尻をぶつけた場合、直後はお尻のほうが痛いので、頭の症状にはなかなか気が付かない。しばらく経ってから頭痛があっても、それが転倒によるものだと思わず、受診しても医師に告げないことが多いため、診断が遅れることもある。頭を強くぶつけたら、頭痛がある・なしにかかわらず、一度、医療機関で診てもらうことです」(小川さん)

【胸痛】
■締め付けられるような胸痛、左肩・腕の痛み→急性心筋梗塞

 締め付けられるような急な胸痛、息苦しさ、動悸、冷や汗、吐き気、めまい、顔面蒼白……。これらは一般的な急性心筋梗塞の症状だ。しかし、こうしたわかりやすい症状が表れるケースばかりではないという。

「例えば、あごや歯、左肩や腕の痛み。これは急性心筋梗塞の関連痛として起こります。五十肩だと思って整形外科を受診したら、実は急性心筋梗塞だったということも珍しくありません」

 と話すのは、千葉大学医学部附属病院(千葉市中央区)総合診療科科長の生坂政臣さん。米国の家庭医の資格も持つ。他の病院では診断がつかなかった患者を診ることも多く、初診の半分はセカンドオピニオンだ。

 急性心筋梗塞は、心臓の筋肉(心筋)の周囲を走る冠動脈が動脈硬化などで詰まって栄養や酸素が届かなくなり、心筋が壊死する病気。日本人の死因の第2位は心疾患で、患者数は増加している。

 急性心筋梗塞で生じる胸痛は安静時にもあるのが特徴で、15~20分以上続く。放置すると、多くは1時間以内に心臓が止まってしまうため、専門病院で治療を速やかに受けなければならない。生坂さんは次のようにアドバイスする。

「締め付けられるような強い胸痛があって、冷や汗が出るような状態であれば、すぐに救急車を呼んで。あごや左肩、腕の痛みがあるときは、動かして痛みが変わるかを確認。動かさなくても痛ければ、急性心筋梗塞の可能性も考え、病院で診てもらってください」

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