ちなみに、くも膜下出血の原因となる血管の瘤があるかは、脳ドックで調べられる。瘤が見つかれば破裂前に予防的に治療することも可能だ。

■頭痛に加え、光や音、においに過敏、高熱→細菌性髄膜炎

 風邪をひいても頭痛は起きるが、それと似た症状でも危険な病気が潜んでいることがある。細菌性髄膜炎だ。髄膜という脳を包んでいる膜に起こる炎症で、感染が原因となることが多い。

「原因となる感染には細菌性とウイルス性の2種類があり、重症化しやすいのは細菌性です。原因菌は肺炎球菌やインフルエンザ桿(かん)菌などさまざまで、早期に治療を始めないと命に関わります」

 このように説明するのは、亀田総合病院(千葉県鴨川市)総合内科部長の八重樫牧人さん。米国内科専門医などの資格を持ち、海外での経験も豊富な総合診療医だ。同院の総合内科では1日150人余りの患者を診ている。

 大人の細菌性髄膜炎致死率は20%にものぼり、助かっても、後遺症として認知機能低下やまひなどが起こりやすい。

「細菌性髄膜炎は、急に悪化する例と数日間かけて進行する例があります。いずれも風邪のような症状が出るのが特徴。頭痛に伴って、光をまぶしく感じたり、音やにおいに敏感になったりすることもあります」(八重樫さん)

 こうした症状があったら、細菌性髄膜炎でないことを確認するためにも、医療機関で診てもらったほうがよいだろう。なお、細菌性髄膜炎の予防には、肺炎球菌や髄膜炎菌のワクチンが有効だ。

■転倒1カ月後に頭痛や吐き気、片側のしびれ→慢性硬膜下血腫

「転んで頭を打った後、3週間くらい経ったころから痛みや吐き気、体の片側のしびれなどが出てきたら危険。『慢性硬膜下血腫』の疑いがあります」

 痛み治療の権威で日本大学名誉教授の小川節郎さんのアドバイスだ。

 硬膜下血腫とは、脳と脳を覆う硬膜(髄膜の一つ)の間の血管が切れて硬膜の内側に血の固まり(血腫)ができる病気。転倒して頭を打つ、頭をぶつけることが原因。高齢者は血管がもろいため、特に注意が必要だという。

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