帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など多数の著書がある
帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など多数の著書がある
のどの変化を見逃すな (※写真はイメージです 撮影/多田敏男)
のどの変化を見逃すな (※写真はイメージです 撮影/多田敏男)

 西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱する帯津良一(おびつ・りょういち)氏。老化に身を任せながら、よりよく老いる「ナイス・エイジング」を説く。今回のテーマは「のどにこころ配りを」。

*  *  *

【ポイント】
(1)のどはウイルスなどの攻撃に弱い部分
(2)のどの違和感に対し直観を研ぎ澄ませよう
(3)弱い存在であるのどをいたわることが大事

 よりよい老化を目指すときに気を配った方がいいのが、のどの健康です。

 もともとノミド(飲門)と呼んでいたものが転じてのどになったのだそうです。漢字では「咽」または「喉」と書きます。のどには鼻から食道につながる部分の咽頭と、気管につながる喉頭があります。そこで2通りの書き方があるのでしょう。つまり、食物を飲む門と、空気を飲む門の両方を持っているのです。ここがやっかいなところなのですが、それについては、また後ほど述べます。

 医学部の授業では、のどはロークス・ミノーリス(Locus minoris resistentiae)の代表的な部分だと教わります。ロークス・ミノーリスは日本語では抵抗減弱部。微生物またはその毒素などの攻撃に対して、正常な組織や臓器よりも抵抗力が弱くなっている部分ということです。

 一日のうちに飲食物がどのくらい、のどを通るのでしょうか。

 呼吸となると、一日に2万回以上、空気が入ったり、出たりします。さらにタバコの煙がやってきたり、私のような酒好きの場合はビールの泡やアルコールが通過したりします。その刺激は容易なものではありません。

 私たちは知らないうちに、のどを酷使しているのです。その一方でのどはロークス・ミノーリス、弱い存在なのです。ですから、ウイルスなどが侵入してくると、真っ先にやられます。

 これは、体全体がやられる前に、先立って被害を受けて、警告を発するという意味もあります。

著者プロフィールを見る
帯津良一

帯津良一

帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中

帯津良一の記事一覧はこちら
次のページ