支持者を前に比例区での議席確保の速報を喜ぶ山本太郎氏(撮影・多田敏男)
支持者を前に比例区での議席確保の速報を喜ぶ山本太郎氏(撮影・多田敏男)
当選が確実な筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の舩後靖彦氏と山本太郎氏(撮影・多田敏男)
当選が確実な筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の舩後靖彦氏と山本太郎氏(撮影・多田敏男)

 7月21日投開票の参院選では自民、公明の与党が、改選124議席の過半数を大きく上回る見通しだ。立憲民主も改選9議席から大きく増えそう。事前調査の予想通りだが、注目されたのが「れいわ旋風」だ。

 参院議員の山本太郎代表(44)が4月に立ち上げた政治団体「れいわ新選組」は、21日午後10時時点で比例区で2議席を確保した模様だ。

 山本氏は前回と同じ東京選挙区ではなく、比例区から立候補。比例区で優先的に当選できる「特定枠」に重い障害を抱える2人を充てたため、自身は多数の票を集めたものの議席に届かない可能性がある。

 指定枠1位の筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の舩後靖彦氏(61)、2位の木村英子氏(54)は当選しそうだ。国会は重い障害者を受け入れられるように、運営の見直しや施設の改修を迫られる。

 山本氏は都内のホテルで開票速報を見守った。集まった数百人の支持者や報道陣を前に、重い障害者が当選する意義を強調した。

「国会が健常者だけのリズムで進められなくなる。サポート体制も必要で、それが多様性につながる。誰も切り捨てられない社会を作るためには、当事者が国会に入っていくべきだ」

 令和の候補者には、「当事者」というキーワードがある。障害者だけでなく、元派遣労働者や元コンビニ経営者ら、厳しい立場を経験した人が目立つ。他の党では世襲の候補者も多いなか、有権者にはより身近に感じられたようだ。

 れいわを勢いづかせた背景には、わかりやすい政策もあった。
「今回の選挙の争点は格差。一握りの人のために政治が行われている」

 このように山本氏は選挙戦を通じて格差是正を掲げ、従来の政治を批判した。消費税の廃止や奨学金徳政令といった、既存政党とは異なる独自の政策を訴えた。経済団体や労働組合といった特定の支持基盤がないため、街頭演説やネットを通じて、草の根で支持拡大に取り組んだ。口コミで支持が広がり、演説には無党派層を中心に多くの人が詰めかけた。

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山本太郎の命運は?