室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。自らの子育てを綴ったエッセー「息子ってヤツは」(毎日新聞出版)が発売中
室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。自らの子育てを綴ったエッセー「息子ってヤツは」(毎日新聞出版)が発売中
イラスト/小田原ドラゴン
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 作家・室井佑月氏は、テレビ各局の「党首討論」に疑問を呈する。

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 この原稿を書いているのは7月7日。21日投開票の参議院選は、まったく盛り上がっていないように感じる。このままだと投票率が下がる? いやいや、そんなことあってはならない。

 なぜ、メディアは選挙を盛り上げようとしないのだ。やろうと思えば、いかようにでもできるはず。

 2020年の東京オリンピックなんて、来年をピークに盛り上げる気満々じゃん。数々のヒット商品、パンナコッタとかタピオカとか作ってきてるしな。ある番組でココアが身体に良いって話をしたら、ココアがスーパーから売り切れになったくらいじゃん。

 考えられるに、選挙を盛り上げたくないんだな。各局ともアリバイ作り的に、「選挙にいきましょう」とアナウンサーが軽く訴えるくらいにしておく。これも政権与党に対する忖度なのか?

 だってさ、09年の衆議院選は投票率が69%で、自民党の議席占有率は24%とボロ負けした。でも、その後14年と17年では、投票率が52~53%で自民党の議席占有率は60%を超えてしまう。

 かつての自民党の首相が「無党派層は寝ててくれ」と発言して叩かれたことがあったけど、口に出すか出さないかの差こそあれ、本音はおなじなんではない? で、そこらへんをメディアは忖度しているんではない?

 テレビ各局で党首討論を行っているが、時間が短すぎてまるで意味がわからない。野党側や司会者が質問しても、安倍首相の言い切り言い逃げになってしまっている。

 それで、各党の主張を報じたといえるのか? 党首討論が終わった後、その番組で先ほどの党首たちの発言について、徹底的にファクトチェックをすべきじゃね? メディアの意味や意義ってそこにあるのだし。たとえば安倍首相は党首討論で、アベノミクスの成果を語る。「全都道府県で1倍超の有効求人倍率」「歴史的な低失業率」「税収はバブル期を超えた」という。

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室井佑月

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室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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