これは骨密度が低下する骨粗鬆症(こつそしょうしょう)によるものです。実は骨も新陳代謝しています。古い骨が吸収され新しい骨が形成されるのです。ところが老化すると、この吸収と形成のバランスが崩れ、骨の形成がおろそかになってしまうのです。また骨は貯蔵庫の役割があり、体内のカルシウムが不足すると、骨からカルシウムが溶け出してしまいます。このように骨密度が低下すると、骨折しやすくなるのです。

 骨折すると、それをきっかけに歩けなくなってしまいます。そうした事態を避けるためには(1)小脳の機能を維持する(2)下半身の筋力を保つ(3)カルシウムを十分に摂る──ことです。

 これに対する私なりの対策をご紹介します。

(1)に対しては脳血管の健康を保つために血液をサラサラにするサプリを飲み、片足立ちの多い太極拳に励んでいます。

(2)に対してはこまめに動いて下半身の筋肉に負荷をかけるようにしています。病院でもエレベーターは使いません。また、牛肉のような良質なタンパク質を摂るようにしています。すき焼きとかはいいですね。

(3)に対してはカルシウムが多いといってもチーズや丸干しイワシは嫌いなので、もっぱら湯豆腐を昆布だしでいただきます。昆布は「カルシウム+燐(リン)」のバランスが良く、カルシウムの補給食品としてエース級なのです。昆布だしの湯豆腐は毎日、食べています。

週刊朝日  2019年7月5日号

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帯津良一

帯津良一

帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中

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