合格者が多かった主な12女子校の数字をまとめた。ほとんどの女子校で前年よりも合格者数が増え、12校全体では1007人と26.5%の増加。16~18年の3年平均の合格者数と比べても伸びている。

 中でも豊島岡女子学園は前年より43人増の150人、白百合学園は69人増の112人、女子学院は51人増の101人と躍進している。

 女子校の合格者が増えている大学を見ると、文科省から不適切入試を指摘されていた大学が際立つ。昭和大は12女子校の16~18年の平均合格者は38人だったのが、今年は倍近い64人に。順天堂大は50人だったのが71人、日本大は11人だったのが24人に増えた。

 文科省から不適切入試を指摘されず、女子差別はしていないと主張している大学でも、全体的には女子の合格者が増えている。入試では面接など客観的な点数をつけにくい試験があり、女子や多浪生が不透明な形で低く評価されがちだったと言われる。大学通信の安田賢治常務はこう指摘する。

「多くの大学は女子の合格者増について、『偶然の結果』だと説明するでしょうが、明らかに数字が大きく変化しています。これまで女子が不利だった入試を、問題が発覚する前に自主的に見直したのではないでしょうか」

 女子や多浪生への差別が一掃されたとすればいいことだが、問題はそう簡単ではない。一般企業と同様に、病院でも女性への偏見や差別が根強いためだ。女性は結婚や出産をきっかけに辞める人もいるとして、男性のほうをより積極的に採用したいという病院が多い。入試で面接する側の男性医師の中には、「女性より男性のほうが論理的に考える能力が高いので医師に向いている」といった偏見を持っている人もいる。

「不正入試が横行していた背景には、長時間労働が常態化するなど、女性が働きにくい医療現場の状況があります。女性が結婚や出産をしても働き続けられるようにしないと、しばらくたてばまた入試で不利な扱いをする恐れがあります」(安田さん)

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