無理な要求で自殺も考えた…“名医”が滋賀医大病院を追われる理由 (2/3) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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無理な要求で自殺も考えた…“名医”が滋賀医大病院を追われる理由

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出河雅彦週刊朝日#病院
滋賀医大病院 (c)朝日新聞社

滋賀医大病院 (c)朝日新聞社

患者会が今年1月12日に滋賀県草津市内で行った、岡本圭生医師の治療継続を求めるデモ行進 (c)朝日新聞社

患者会が今年1月12日に滋賀県草津市内で行った、岡本圭生医師の治療継続を求めるデモ行進 (c)朝日新聞社

前立腺がん (週刊朝日2019年6月7日号より)

前立腺がん (週刊朝日2019年6月7日号より)

 15年12月末、松末吉隆病院長の前で、「准教授の治療当日だけ立ち会い、指導するように」と泌尿器科教授から命じられた岡本医師は、自ら診察もしていない患者に危険が及ぶことを理由に拒否しようとしたが、聞き入れられなかったという。岡本医師は要求内容を塩田浩平学長に報告。学長は「病院のコンプライアンスと倫理的な観点からも、憂慮すべき事態になる」と、泌尿器科が行おうとしている治療への懸念をメールで岡本医師に伝えた。その後、泌尿器科が担当していた20人余の患者の診療は岡本医師が行うことになった。

 岡本医師はこう振り返る。

「泌尿器科からの度重なる無理な要求で精神的に追い詰められ、心療内科を受診していましたが、教授の言いなりに准教授の治療に加担したら自殺するしかないとまで思い詰めました。職を追われることになっても、医の倫理に反する行為を止めなければ、患者の人権と医療を守ることはできないと考えたのです」

 担当医が代わった事情を知った一部の患者は、やがて病院側に説明や謝罪を求めるようになる。

 塩田学長は3年間の期限で設置された寄付講座の延長に前向きで、その要請を受けた寄付企業は16年末までに講座の継続を認める社内手続きを終えていた。だが、滋賀医大は17年7月に寄付講座の存続期間を「最長5年」とする学内規定の改定を行い、同じ年の12月、小線源治療の寄付講座閉鎖を公表した。塩田学長が判断を変更した格好だ。

 公表直前の11月中旬、松末病院長の指示で岡本医師の治療予約システムが停止された。岡本医師によれば、事前予告はなく、約40日間の停止期間中、計268人の患者が次回診療日を予約できなかった。診療日予約のためだけに北海道から通院した患者もいた。

 不信感を強めた患者たちは昨年6月、「滋賀医科大学前立腺癌小線源治療患者会」(会員約1千人)を結成。講座閉鎖は「未経験医師による治療という不当医療行為を組織ぐるみで隠蔽するため」とみて、説明会を開くよう再三要求したが、大学側は応じていない。


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