ただ、思わぬデメリットもあった。

 これまでは毛で隠れて見えなかった帝王切開の傷痕があらわになり、さらにはIラインの中央にあるもの(!)が、前から少し見えてしまうのには困惑した。ツルツルは別にいいとしても、中が見えてしまう。これでは、温泉に行ったときにかなり恥ずかしい。

 クリニックの広報担当者によると、全部ツルツルにする人は男女とも3割ほどで、7割の人は前から見える部分はある程度残すという。2回目以降もレーザー照射を受けるかどうかまだ決めていないが、受けるんだったら前だけは残そう。一度経験すれば、痛みも恥ずかしさも、初回ほどではない気がする。

 また、今までは毛で守られていた部分が直接下着に当たるようになったせいか、数日はこすれる感じの違和感があった。毛は大事なところを守るために生えるという話も聞くが、やはり意味はあるようだ。

 気になる料金だが、リゼクリニックでは5回セットのVIO脱毛で9万9800円。新宿や渋谷など一部の院では、4万9800円のトライアル料金で提供している(19年4月時点、いずれも税込み)。

 ちなみに、介護現場の経験豊富な知人のケアマネジャー数人に、「介護脱毛」についてどう思うかを聞いてみた。すると、以下のような答えが返ってきた。

「毛量が多い人は陰部洗浄しにくいので、看護師がハサミでカットすることはあります。でもそんな人は多くないし、脱毛なんて必要とは思わない。その人の状況に合わせるのが介護の基本なので、そこまで気にしなくてもよいのでは?」

「毛が長かったり、多かったりすると、排便後の拭き取りに手間はかかる。だから、毛は少ないほうがケア時間の短縮にはなりそう。でも、頭髪と同じく体毛も加齢とともに薄くなるので、介護を受けるような年齢になれば自然と量は減りますよ。個人差はあるけれど」

 モジャモジャよりは、ツルツルのほうがお世話はラクだろう。けれど、脱毛までは必要ないのでは、という意見が返ってきた。さてあなたはどう思いますか?(ライター・石井陽子)

週刊朝日  2019年4月12日号