昨年の開幕直後は140キロ台に乗っていた直球の球速も、シーズン終盤は130キロ台が多かった。コンスタントに140キロ以上を記録できる状態にできるかがカギとなるだろう。そうすれば、軸の球種となるカットボールにもキレが出るし、スライダー、チェンジアップの緩い球も生きる。ピークをどこに持っていくか。特に春先に無理をして、夏場に失速するようでは、チームのためにもならない。

 与田剛監督は大輔に「中6日で先発ローテーションを」と希望しているという。だが、それが理想論であることは、指揮官も、大輔もわかっているだろう。まず、任された試合でチームを勝たせるだけの内容を示してからだ。チームとしても、大輔に過度な期待はせず、夏場の苦しい時に助けてほしい……といった程度でないと、王者の広島、積極的に補強した巨人に食らいつくことはできない。

 巨人の岩隈久志も右肩痛からの復活を目指しているが、メジャーのキャンプスタートが2月中旬だったことを考えれば、2月上旬からブルペンで仕上げていく必要もないだろう。選手の立場、年齢によって求められているものも違う。それぞれの思惑、考えをキャンプの調整から知るのも、楽しみである。

 私も2月上旬に宮崎に行く予定にしている。日本一のソフトバンクや古巣の西武はもちろん、巨人キャンプの盛り上がりなども肌で感じてきたい。

週刊朝日  2019年2月8日号

著者プロフィールを見る
東尾修

東尾修

東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝。

東尾修の記事一覧はこちら