■「しこりの部分が臭います」

 しこりの部分が臭う場合、感染を起こしている可能性があります。白いドロッとした膿(うみ)が中から出てくる場合の多くは、粉瘤(ふんりゅう)という良性腫瘍(しゅよう)。脂肪のかたまりと呼ばれることもありますが、中身は脂肪ではありません。別名アテローマともいい、ニキビが大きく育ったものとイメージしてもらうとわかりやすいかもしれません。しこりは袋になっており、その中にはあかがたまります。少しずつ大きくなり、いずれ破裂します。しこりの中身は汚いため、漏れ出れば炎症を起こします。袋を取り除かない限りは再発を繰り返すのが粉瘤です。臭うしこりの多くは粉瘤ですが、がんが感染を起こした場合も、膿が出て臭います。臭うから良性で安心というわけではありません。

■「しこりの部分がかゆいです」

 皮膚がんでかゆくなることはまずありません。かゆかった部分をかき続けてしこりになることがあります。ぽこっと大きくなったかゆみのあるできものを痒疹(ようしん)といいます。虫刺されのあとに似たできものです。痒疹はアトピー患者さん以外にもできます。湿疹を長期間かきむしると痒疹へと変化し、治りにくいことが知られています。痒疹に変化する前の湿疹の段階で早めに治療することが大切です。

■「黒いしこり(ほくろ)が気になります」

 黒いできもので多いのが、脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)という良性腫瘍。紫外線の影響が考えられています。年齢とともに顔や首に増えてくる黒色のできもののほとんどがこの脂漏性角化症です。

 黒い皮膚がんで有名なのはメラノーマ(悪性黒色腫、あくせいこくしょくしゅ)。ほくろのがんといわれるものです。メラノーマの場合、平坦に広がっていくものもあれば、しこりになって増大していくものもあります。このメラノーマ、皮膚の奥深くにがんが進展していくほど予後が悪いと言われています。しこりを感じるということは厚みがあるということで注意が必要です。ほくろかメラノーマかを判別するにはABCDルールというものがあります(ABCDルールについては過去の記事を参照してください)。

次のページ
がんは痛くないこともある