そこで、注目されるのがナトリウムとカリウムの比率(ナト・カリ比)。カリウムはナトリウムの排出を助ける機能がある。前出の女子栄養大の上西教授はこう話す。

「日本人の食塩摂取量は少しずつ下がっていますが、5グラム未満はまず実現できない。これ以上の減塩がどうしても難しい場合、一つの対応としてカリウムを増やす考え方があります。まだ比率の具体的な数字はないですが、ナトリウムと反対の働きのカリウム摂取を増やすということです」

 カリウムの摂取目標量は男性が1日3千ミリグラム以上、女性が1日2600ミリグラム以上(食事摂取基準)。カリウムは春菊、ホウレン草、芋類などの野菜や、りんごやバナナなど果物に豊富だ。塩分を抑えることの重要性は変わらないが、カリウム摂取による「攻めの減塩」も意識したい。ただ、腎機能障害がある人は、とりすぎに要注意だ。

 時間栄養学の話に戻ると、血糖値スパイク(急上昇)を抑えるための「攻めの間食」という発想もある。

 柴田教授は、効果的な間食が血糖値の急上昇を抑えることを自らの体内での実験で示した。コンビニなどで売っている一口ようかん(約160キロカロリー)を食べた際の血糖値を、夕食前に摂取・夕食後に摂取・摂取しない、の3種類で比べた。

「夕食までに軽く間食をとっておくと、夕食後の血糖値上昇を抑えられます。同じものを夕食後に食べると、間食のときより血糖値は高くなります」(柴田教授)

 間食が効果的だと考えると、朝食を抜く問題点もはっきりする。朝食を抜けば、体内時計をリセットできないだけでなく、昼食時の血糖値急上昇や、朝食抜きによる食べすぎも心配になる。

 ダイエットのために朝ごはん抜きという人もいるが、時間栄養学の視点でみると、朝食抜きは「逆ダイエット」ということになる。(本誌・岩下明日香)

週刊朝日  2018年12月14日号