■壁ピタドローイン


 正しい姿勢と立ち方が身につく。正しい立ち方をするだけで体は若返ると川村さんは指摘する。

「かかと、腰、背中、後頭部の4点が一直線になるのが正しい立ち方。この姿勢でひざ裏を伸ばして呼吸するのが、『壁ピタドローイン』です」

 背中が曲がっていると後頭部をつけるのは難しい。

「きついと感じたら、かかとと腰だけを壁につけてください」

 胸を広げ、おへその下の「丹田」を壁に押し付けるように意識し、息を吐ききる。その後、おなかを引っ込めながら、息を吸う。

「体幹の筋肉と、太ももの内側が鍛えられるので、ふらつきや転倒の予防にもつながります」

(1)壁の前にピタリと立つ。かかと、腰、背中、後頭部の4点が一直線状に並ぶようにする
(2)胸は広げ、おなかを引き締め、太ももの筋肉の内側に力を入れ、ひざをつける。つま先の角度は90度に。まず、手のひらを壁につけて、息を吐く。次に手のひらをひっくりかえして、正面を向け、息を吸う

■ワン・ツー・スリー体操
 この体操は下半身全体を鍛えることにつながる。さらに、体をたたきつつ声を出し、体を動かすので、アドレナリンが出て脳が活性化。ポイントは尾てい骨を意識すること。

「体操の前に、ご自身の尾てい骨を触ってください。これをまっすぐ上下させるつもりで行うと体が傾きにくくなります」

 (1)~(4)を1セットで、3回繰り返す。ゆっくりと行うと、効果も大きい。

「腰を深く落とすと、体幹が鍛えられます。ただ、ひざや股関節に負担がかかるので、無理はしないでください」

 体をたたくとき、「ワン・ツー・スリー」と発声を。

「体を動かし、たたき、声を出すことを同時に行うマルチアクションは、認知症予防に効果的。私のヨガ教室では、『どんぐりころころ』などの童謡を歌いながら、この体操を行います」

(1)脚を大きく開く。つま先は45度外側に。ゆっくりと深く息を吸う
(2)ゆっくりと腰を下げる。上体はまっすぐに保ち、息を吐きながらおしりを真下に下げる
(3)腰を下げた位置をキープして、「ワン・ツー・スリー」と言いながら太ももを3回たたく
(4)大きく息を吸いながら立ち、「ワン・ツー・スリー」と言いながらおしりを3回たたく

週刊朝日  2018年12月7日号