「奨学金」肩代わりが増加中 企業、自治体が人手不足解消に導入 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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「奨学金」肩代わりが増加中 企業、自治体が人手不足解消に導入

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吉崎洋夫週刊朝日
介護職に就職することを条件に支援する東京都 (c)朝日新聞社

介護職に就職することを条件に支援する東京都 (c)朝日新聞社

企業で導入された奨学金返済支援(週刊朝日2018年11月30日号から)

企業で導入された奨学金返済支援(週刊朝日2018年11月30日号から)

自治体が行う奨学金の返済支援(週刊朝日2018年11月30日号から)

自治体が行う奨学金の返済支援(週刊朝日2018年11月30日号から)

新設された主な自治体の給付奨学金(週刊朝日2018年11月30日号から)

新設された主な自治体の給付奨学金(週刊朝日2018年11月30日号から)

「奨学金を完済できて、とても気持ちが楽になりました」

 笑みを浮かべながら話すのは、大手ブライダル・ノバレーゼ(東京)に勤務する内田窓花さん。勤続5年となった今年、会社から奨学金の残額約70万円の返済費用が出た。広島から上京し、奨学金でやりくりしながら東京の国立大に通った。卒業後の返済総額は100万円超。月1万円ほど返してきたが、会社の支援で全額返済した。

【表で見る】企業で導入された奨学金返済支援

「返済に長くかかることを覚悟していました。これからは自己投資の積み立てをしていきたい。会社の長期休暇制度を利用して、語学留学も考えています」

 同社は2012年に福利厚生として奨学金返済支援の制度を導入。勤続5年と10年の社員に、最大100万円ずつ返済資金を支払う。狙いについて同社はこう説明する。

「この業界は、土日も勤務が入り、離職する人も多い。長く働いてもらいたいので、返済で苦しんでいる社員を支援する。社員からは『モチベーションが上がる』と評価が高いです」

 奨学金の返済に苦労する人は少なくない。日本学生支援機構によると、大学(昼間部)に通う学生の約半数が奨学金を利用する。機構の無利子奨学金を利用した学生の平均総額は237万円。卒業後に15年かけて月約1万4千円の返済を続けるケースが多いという。

 こうした負担を減らそうと、返済支援制度を導入する企業は業種を問わず増えている。

 雑貨・飲食店「Afternoon Tea」などを運営するサザビーリーグ(東京)は今年から最大で100万円の返済支援を始めた。広報担当は「新卒採用の説明会では多くの学生が関心を示した。志望を強める動機にもなったとみています」と効果を語る。

 返済支援の取り組みは自治体でも広がる。人口減少や若者の流出に苦しむ地方では、奨学金返済支援を呼び水に、若い人材の獲得に躍起だ。

 島根県は「島根県奨学金返還助成制度」を創設し、昨年度から募集を開始。県が指定する中山間地域や離島の企業に就職し、土木施工管理技士などの資格取得を目指す。12年かけて最大288万円の返済を肩代わりしてくれる。

 広島県出身で島根大を卒業した島根県雲南市在住の会社員、倉本草太さん(23)は約240万円の奨学金を借りたが、同県が返済を肩代わりする。「地元で就職することも考えたが、支援を知り、島根にとどまることを決めた。結婚もしたので、今後お金が必要になることも多く、本当にありがたい制度です」(倉本さん)

 富山県や鹿児島県は返済を全額支援するほか、東京都では今年度から、都内で介護職に就くことを条件に、600人に最大300万円もの支援をする取り組みを始めた。(本誌・吉崎洋夫)

週刊朝日  2018年11月30日号より抜粋


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