セキュリティーの費用がかさむとして、反対の声が多かった挙式後の馬車パレードも、アンドルー王子の意向で実現。ただし、ヘンリー王子の時は約30分だったのに対し、今回は約15分と半分に短縮された。

 アンドルー王子は、かねてよりチャールズ皇太子(69)の息子のウィリアム王子(36)とヘンリー王子にばかり注目が集まることを苦々しく思っている。以前から、同じ女王の孫として、自身の2人の娘にもきちんとした公人としての役割を与えてほしいと訴えていた。

 しかし、チャールズ皇太子は、ロイヤルのスリム化を主張し、国民の負担軽減のためにも、公人は「直系」のみに絞りたいようだ。さらに「ヨーク姉妹の公務を国民は望んでいない」とも公言している。将来、皇太子が国王になったときは、2人の娘はさらに隅に追いやられてしまうのではないかと、アンドルー王子の悩みは深い。

 その結婚式だが、人々が驚いたのは、ユージェニー王女の叔母にあたるカミラ夫人(71)が欠席したことだった。

 ウィリアム王子とキャサリン妃(36)、ヘンリー王子とメーガン妃が顔をそろえたなかで、チャールズ皇太子単独の出席はいかにも目立った。

 カミラ夫人はスコットランドの小学校での公務を入れていたようで、「子どもたちをがっかりさせたくない」と説明したが、欠席の理由はほかにもありそうだ。

 1997年にダイアナ妃が亡くなった後、皇太子と夫人は再婚に向けて準備を始めていた。

 しかし、アンドルー王子が「国民の感情を逆なでする。王室の危機を招く」として反対したのだった。8年後の2005年に再婚するのだが、夫人は当時のことを忘れていなかったのだった。

 こうした背景があったにせよ、結婚式に臨んだユージェニー王女は幸せそうな笑顔を絶やすことがなかったのは救いである。親の離婚、難病、親世代のごたごたに負けない強さに心打たれた人は多かったのである。(ジャーナリスト・多賀幹子)

週刊朝日 ※週刊朝日オンライン限定

著者プロフィールを見る
多賀幹子

多賀幹子

お茶の水女子大学文教育学部卒業。東京都生まれ。企業広報誌の編集長を経てジャーナリストに。女性、教育、王室などをテーマに取材。執筆活動のほか、テレビ出演、講演活動などを行う。著書に『英国女王が伝授する70歳からの品格』『親たちの暴走』など

多賀幹子の記事一覧はこちら