背中の傷痕を隠さず、ウェディングドレスに身を包んだユージェニー王女(Getty Images)
背中の傷痕を隠さず、ウェディングドレスに身を包んだユージェニー王女(Getty Images)

 10月12日、エリザベス女王(92)の次男アンドルー王子(58)の次女ユージェニー王女(28)が、ワイン商ジャック・ブルックスバンクさん(32)とウィンザー城の礼拝堂で結婚式を挙げた。その式には、アンドルー王子による、兄のチャールズ皇太子への対抗心がにじみ出ていたのだった。

 ユージェニー王女とジャック・ブルックスバンクさんは、7年ほど前スイスのリゾート地で出会った。王女は「私の一目ぼれでした」と打ち明けている。彼女はニューカッスル大学で英文学と美術史を学び、ニューヨークのギャラリーで2年間勤務。ロンドンで働いていた彼との遠距離恋愛は、スカイプで乗り越えた。

 王女のウェディングドレスは背中が開いたスタイルで、王女によく似合っていた。ただ、後ろ姿になると手術の傷痕が見えた。王女は12歳の時に脊柱側弯症と診断され、脊椎に金属の棒を入れる手術を受けている。「手術は私の人生を大きく変えてくれました」と話し、同じ病気の人の励ましになればとX線写真をインスタグラムに公開している。今回も傷跡を隠したくないと選んだデザインだった。

 当日はあいにくの強風で、参加した女性が帽子やドレスに気を遣うことはあっても、心温まる式だった、と称賛された。

 しかし、この結婚式には、父親のアンドルー王子の兄チャールズ皇太子(69)へのライバル意識が垣間見えた。

 英国王室の結婚式は、公共放送であるBBCの生中継が「基本路線」だが、今回の結婚式が平日ということもあり、十分な視聴率が取れないとしてBBCが生中継を断った。するとアンドルー王子は、民放のITVにねじ込み、3時間ほどのライブを実現させた。

 さらにはゲスト数でも競った。

 ヘンリー王子(34)とメーガン妃(37)の5月の挙式時は600人だった。しかし今回は850人と大幅に上回っている。しかも、ナオミ・キャンベル、ケイト・モス、カーラ・デルヴィーニュ、リブ・テイラー、デミ・ムーアとそうそうたる顔ぶれだった。ロビー・ウィリアムズの長女はシャーロット王女(3)と共にブライズメイドに加わった。

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多賀幹子

多賀幹子

お茶の水女子大学文教育学部卒業。東京都生まれ。企業広報誌の編集長を経てジャーナリストに。女性、教育、王室などをテーマに取材。執筆活動のほか、テレビ出演、講演活動などを行う。著書に『英国女王が伝授する70歳からの品格』『親たちの暴走』など

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