帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「死を生きる」(朝日新聞出版)など多数の著書がある
帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「死を生きる」(朝日新聞出版)など多数の著書がある
写真はイメージです (c)朝日新聞社
写真はイメージです (c)朝日新聞社

 西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱する帯津良一(おびつ・りょういち)氏。死ぬまでボケない「健脳」養生法を説く。今回のテーマは「運動と認知症予防」。

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【ポイント】
(1)運動が認知症の発症のリスクを低下させる
(2)1週間に中程度の運動を150分間
(3)朝から晩までこまめに動くことが大切

 世界保健機関(WHO)などが推計して9月に発表した報告によると、2016年時点で18歳以上の世界の成人のうち、27.5%の14億人以上が運動不足なのだそうです。日本では35.5%に上るそうです。世界の平均より運動不足の人が多いんですね。最近、健康を気にしてランニングなどをしている人が増えているようですが、まだまだということでしょう。

 で、運動と認知症の関係ですが、長期かつ定期的な運動が認知症の発症のリスクを低下させることが明らかになっています。さらに認知症の進行を抑制する効果もあるらしいのです。

 運動は動脈硬化の危険因子を軽減しますから、動脈硬化などで起きる脳血管性の認知症予防に効果があることは想像できます。それだけでなく、アルツハイマー型認知症についても、運動が脳の老化や神経変性を回復させる効果があるらしいと言われているのです。

 いつもながらですが、がんの予防と比較してみましょう。がんの予防のために適度な運動がよいというのは、世界的なコンセンサスです。12年に米国対がん協会が公表した「がんサバイバーのための栄養と運動のガイドライン」によると、こうなっています。

「成人の場合、1週間に中程度の運動を150分間、または、強度の運動を75分間(または両者の組み合わせ)を、できれば1週間を通して偏らないように行いましょう」

 この「1週間に中程度の運動を150分間」というのがポイントです。認知症の専門家が共同執筆している『認知症ハンドブック』(医学書院)にも、予防のためにウォーキング、ハイキング、水泳といった運動をあげたうえで、「これらの活動を週に3回以上行い、1週間の合計運動時間として150分以上を目標とすることが推奨される」という記述があります。

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帯津良一

帯津良一

帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中

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