そんな片山氏は芸能事務所とも契約しており、とにかく目立とうとテレビ露出にも余念がなかったという。芸能事務所関係者はこう語る。

「元俳優で現千葉県知事の森田健作氏が縁で、大手芸能事務所と契約していた。テレビタックルなど多くのバラエティ番組に出演して顔を売っていました」

 今回の就任でもシルバーのドレスで登庁するところや会見でも、着ていた洋服にいくつもバッチをつけていることなどが話題になっていた。

 目玉が片山氏という今回の組閣で、安倍政権の未来はあるのだろうか。政治ジャーナリストの角谷浩一氏は、参院選の勝敗がポイントだと指摘する。

「決して楽に勝てる選挙ではありません。野党が一本化すれば、6年前のようにはいかない。参院選で自民党が敗北、もしくは与党の数が減れば、衆参両院の総議員の3分の2以上の賛成が必要な憲法発議さえできなくなります」
先の沖縄県知事選挙では、二階幹事長、菅官房長官、そして小泉進次郎氏まで投入した総力戦で、約8万票の差がついて敗北した。

「惜敗ではなく大敗と言えます。自民党に任せていれば安心だという空気がなくなってきました。参議選のためにも組閣では、挙党体制が必要だったのに、気心の知れた仲間を入閣させるという強気な戦略に出た。勝負をかけているのか、国民の民意を読み違えたのか、ここが分かれ目になってくるでしょう」(同前)

「全員野球内閣」に対する国民の反応も好意的ではない。

「去年まで言っていた『この道しかない』というスローガンには、強い信念が感じられますが、好きな人を集めた全員野球では、弱い人の寄せ集めという印象を受ける。それではこの国の、今の状況はもたないんじゃないか」(同前)

 スタートを切ったばかりの新安倍政権に悩みは尽きない。(本誌/田中将介、上田耕司)

※週刊朝日オンライン限定記事

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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