ぎんぎら銀のドレスで登場した片山さつき新大臣 (c)朝日新聞社
ぎんぎら銀のドレスで登場した片山さつき新大臣 (c)朝日新聞社

 唯一の女性閣僚として初入閣したのが、片山さつき参院議員だ。

 今回の組閣は、「女性活躍」を掲げる安倍政権の方針と逆行するかのように、女性閣僚は1名のみ。

 安倍首相は会見の場で「今回、女性の入閣は1人だけだが、2人分も3人分もある持ち前の存在感で、女性活躍の旗を高く掲げてもらいたい」と説明するも、記者らから失笑を買った。

 片山氏は東大法学部を卒業後、旧大蔵省に入省。東大の同級生には、セクハラ疑惑の福田淳一元財務次官、森友文書改ざんの佐川宣寿元国税庁長官、村上ファンドの村上世彰氏などそうそうたるメンバーがいた。

 その後、2005年の衆院選自民党から出馬し、初当選した。片山氏につきまとうのは、「生活保護バッシング」という負のイメージだ。

「答弁はうまいと思いますが、昔の生活保護バッシングの印象が強く、閣僚としていかがなものかと思います。不正受給は犯罪ですから、厳しく追及する必要がありますが、一部が不正受給しているからといって、生活保護全体を『とんでもない』というのはよくない」(野党議員)

 他にも不安の種はある。

 古巣である財務省の現役官僚は「心配事が増えた」と語る。

「性格に難があるのは、当時から有名で、官僚同士だけでなく、全方位型で横柄な態度をとっています。最初、厚生労働大臣という話が出て、さすがにないだろうとは思っていたものの、改めて内閣府特命担当大臣に決まったと聞いたときは、ほっとしましたよ。財務省にとばっちりがくることはあまりないと思いますが、安心はできません」

 女性閣僚を入れざるを得ない安倍首相にとって、最大限知恵を絞った結果だったのだろうか。

「大きな仕事を任せられる人ではないので、権限があまりない内閣府担当の閣僚で落ち着いたのではないでしょうか」(同前)

 作家の大下英治氏も片山氏の入閣は「ラッキーだった」と話す。

「安倍さんは誰か女性を大臣にしなければならない中で、党内を見渡しても、なかなかいない。結局、片山さんだけが残った。だから運がいい女性です。また、二階派である片山さんは私が二階さんと会っていると、必ずといっていいくらい寄ってきて熱心に何か提案してきました。彼女のエネルギーと熱心さはたいしたもんですよ」

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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