沖縄県知事選の応援に仲良く入った小泉進次郎筆頭副幹事長と菅義偉官房長官(C)朝日新聞社
沖縄県知事選の応援に仲良く入った小泉進次郎筆頭副幹事長と菅義偉官房長官(C)朝日新聞社

 自民党総裁3選を決めたものの、安倍晋三首相が窮地に立たされている。石破茂氏の善戦でザワつく永田町。沖縄県知事選、10月1日の組閣で失敗すれば、安倍内閣の終わりの始まりとなりかねない。

「総裁選の結果は、安倍首相には衝撃的だったにちがいない。党員が締め付けに反発したこともあるだろうが、石破氏の噛んで含めるような地方創生論などの訴えが党員の琴線に触れたのでは。一方、首相のアベノミクスの実績自慢は首都圏で通用しても、閉塞感の強い地方では共感されない。国土強靱化とか、国難突破などは空疎に聞こえる。首相としての器量を見透かされた形だと思う」(政治ジャーナリスト・野上忠興氏)

 大派閥が談合した国会議員票では安倍82%対石破18%と圧勝だったが、地方票では55%対45%と接戦となった。政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏はこう指摘する。

「安倍首相は正直、こたえたと思います。地方票はあと5%まで、石破さんに迫られたんですから。来年の統一地方選、参院選挙を安倍さんで戦うことを不安視する議員は実は多い」

 石破氏の大善戦を作家の大下英治氏はこう分析する。

「安倍さんと石破さんは何回か討論会を開催しましたが、あと3回やったら石破さんの地方票は安倍さんにもっと肉薄していたでしょう。北海道地震の影響で選挙戦を自粛、討論会の回数が減り、安倍さんは救われた」

 石破派の斎藤健農水相が「安倍陣営の議員から、石破を支持するなら辞表を書けと言われた」と安倍陣営の“パワハラ”を告発したことも痛かった。

「斎藤さんは4回生で、石破派なのに安倍さんが引き抜いて大臣に据えたんです。それなのに安倍さんが『誰に言われたかを言うべき』と斎藤さんに迫るのを見て、さすがに嫌だなと感じた党員は多かったのでしょう。また、テレビ討論などでモリカケ問題について質問されても、まともに答えようとしない安倍さんの姿を見て、安倍さんに投票しようと思っていた人たちで離れた人は相当いると思いますよ」(大下氏)

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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進次郎氏は「マスコミ1社にリークし、反応を見てから公言」