厚生労働省が5年毎に示す日本人の栄養摂取基準で、2015年版からはコレステロールの目標量がなくなり、1日2個以上の卵を食べても脳卒中や心臓病に影響しないということになった。以前は1日に1個と言われていた時代もあり、この上限がなくなったことも卵の消費を促しているようだ。日本養鶏協会によると、卵は「完全に近い栄養食品」とされ、良質なたんぱく質や各種ビタミン類、亜鉛、カルシウム、リン、鉄などミネラル類も豊富に含んでいる。栄養面に優れた卵を手軽に食べる方法の一つがゆで卵かもしれない。
ゆで卵の販売で元祖といえばJR駅の売店がある。駅売店のゆで卵を扱ってきたのが岩手県盛岡市にある東日本マジックパールだ。昔のゆで卵には別添えの塩があったが、同社が1980年ごろ、手軽に食べられるようにと塩味を染み込ませたゆで卵を開発。現在は駅売店のほかイオンやCGCグループ、成城石井などにも卸している。
現在はコンビニなどが販売するゆで卵もみな塩味が染み込んでいる。
東日本マジックパールは元々、ゆで卵をJR駅売店で常温でも販売できるようにと特別に開発した。担当者によると、詳細は企業秘密だが、パック入り冷蔵で販売するコンビニなどのゆで卵とは違いがあるという。
「ゆで卵は温度変化に弱く、汗をかいてしまう。汗をかくと菌が付着して悪くなりがち。結露しないように包装もネットに入れて通気性が良い。常温でも販売できる」
マジックパールではまた、同じ養鶏場の卵をロットごとに管理してボイルしているため、卵の大きさや堅さなど品質のぶれが少なく、ほど良い堅さに仕上がっているという。ゆで卵の販売は年々増え、現在は月110万個ぐらい、グループの西日本マジックパールと合わせて月200万個ぐらいの売れ行きになっている。
ゆで卵はシンプルな食べ方だが、それを商品にしたものは奥が深そうだ。各社のゆで具合や味付けをじっくり楽しみながら食べてみたい。(本誌・浅井秀樹)
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