プロテインは主に牛乳からつくるホエイや、大豆などからつくる植物性の商品がある。ホエイは吸収が早いが、アレルギー反応を示す人もいる。

 摂取方法は、粉末を水などに溶かして飲むのが一般的だ。口にしやすいようにゼリー状やドリンクタイプの商品もあるが、甘みが強くて糖分をとりすぎる恐れもあるため、注意が必要だ。

 たんぱく質の毎日の摂取の目安は、体重1キログラムに対して1グラム。厚生労働省は、成人男性60グラム、成人女性50グラムを推奨している。

 食の細くなった高齢者には、エネルギーやたんぱく質が不足する低栄養の状態に陥っている人も多い。

 厚生労働省の16年の「国民健康・栄養調査」によると、65歳以上の低栄養傾向者の割合は、男性12.8%、女性22.0%。伴侶を失って一人暮らしになった人らは、買い物や料理がわずらわしくなったり、食事への関心が薄れて同じものばかり食べたりしがち。食事の回数が減り、食生活も単調になる。たんぱく質不足から血管や筋肉が弱ると、健康寿命を長く保てなくなる。

 徳島県で栄養に関する講演やカウンセリングをしている、スポーツ栄養士の南部真也氏はこう指摘する。

「プロテインは体に吸収しやすいようにつくられている。吸収がよいということは、胃腸をそれほど動かさなくてもよいということ。きちんとした食事ならば、消化液がしっかりと出る。プロテインは特定の栄養素しか入っていないが、食べ物には色々な栄養素が入っている」

 保健衛生や妊婦・育児のコンサルタントなどをする「とらうべ」(東京都)の管理栄養士、山本ともよさんは「栄養摂取は、かんで食べることが大事なポイントで、消化吸収にも影響する。たんぱく質もできるだけ食事での摂取がよいが、高齢の方など食事からとれない人にはプロテインを勧めることもある」という。

 山本さんによると、食事を自分でつくらず、パンだけ、おにぎりだけといった食生活の人もいる。高齢者だけでなく、食事量の少ない若い女性や、卵や牛乳のアレルギーがある子供なども、食事だけだとたんぱく質が足りない。こうした人たちは、プロテインの摂取が選択肢になる。

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