写真はイメージです (c)朝日新聞社
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低栄養傾向者の割合(65歳以上の人)
低栄養傾向者の割合(65歳以上の人)
プロテインの市場規模の推移
プロテインの市場規模の推移

 血管を若々しく保つのに大切な栄養素が、たんぱく質(プロテイン)。血管だけでなく、骨、皮膚、血液、筋肉や内臓などをかたちづくる大切な栄養素だ。食事での摂取が基本となるが、食の細った高齢者など不足気味の人にはサプリメントも有効だ。

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 サプリメントとしてのプロテインはかつて、アスリート向けの特別な商品というイメージが強かった。激しい練習で運動量が多く、筋肉や血液などのダメージが大きい人向け。しかし、最近は米国のように、一般の人も使うようになってきた。日本でも市場が拡大している。

「日本人は胃酸と消化酵素が少なく、十分に消化吸収できていないため、必要量のたんぱく質をとれていない人が多い」

 美容アンチエイジング専門医の黒田愛美医師はそう話す。自らもスポーツ後などに、たんぱく質を補うため、プロテインを摂取することがあるという。たんぱく質が不足すると、肌の潤いや髪の毛の色つやにも影響するため、美容に関心の高い女性は気をつけたい。

 国内のプロテイン市場は近年、急拡大している。販売シェアの約半分を占める明治によると、2017年は300億円規模。買う人がアスリートから一般の人にも広がり、国内外の様々な企業が参入している。ただ、米国の約5千億円、英国の約500億円と比べ、日本の市場規模はまだ小さい。

 明治は、陸上女子100・200メートルの日本記録保持者の福島千里選手を栄養面でサポートしている。福島選手は練習後などに、同社のプロテイン「ザバス」などを摂取しているという。

 激しい練習をする運動選手となれば、体重1キログラムに対し、2グラムほどのたんぱく質をとる必要があるという。一般人の2倍ほどの量で、食事だけでとろうとすると、大量に食べなくてはいけない。すると、カロリーや脂肪など他の栄養をとりすぎてしまう問題も生まれ、プロテインを使うことが有効になる。

 国内のプロテイン市場で約1割のシェアを持つ森永製菓によると、商品の購入者は30~40代の男性が多い。ただ、最近は50~60代も増えているという。

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