GMは、選手のみならず監督の人事権まで持つ編成責任者。とぼけたイメージで“切れ者”感がまったくない彼に務まるのか? あの報道からしばらく、取材現場で評論家諸氏が顔を合わせると、お約束のように「石井にGMできるの?」とヒソヒソやっていたそうで、プロOBも同じ印象かぁ、と思ったが、取材してみると意外と賢い(失礼!)素顔が……。

「本人が笑いながら『僕のこと、バカだと思っているでしょ。でも結構野球は詳しいんですよ』なんて言うんです」というベテラン記者が語る。

「現役時代、ベンチの指示どおりにやって試合に負けたとき、『わがまま言って勝つより指示に従って負けたほうが、長いシーズンを考えると有益なんです』と言ったとか。そんな冷静な選手、なかなかいませんよ」

 具体的に期待されているのは、データを読む“目”らしい。「話題の“フライボール革命”を生み出したハイテク機器“トラックマン”がありますよね。石井はそれにいち早く注目し、解説で投手の球の“回転数”を元に語っています。自分のコラムでも『データを活用するためにフロントの能力が大事』と書いていたくらいだから自信があるんでしょう」(同前)

■知っていて書かなかった訳
 王貞治ソフトバンク会長(78)の結婚を球団が発表したのは6月1日だった。お相手は、王夫人が亡くなってしばらくしてから付き合いだした女性で、かつて一部写真誌が取り上げたことはあったが、実は、多くのスポーツマスコミは知っていても触れなかった。

「何を聞いても答えてくれて、プライベートを隠さない人なので、むしろ追いかけすぎてはいけない、と忖度しちゃうんです(笑)」

 こう語る九州のベテラン記者は、王氏のダイエー監督時代、張り付いていたある写真誌の記者が囲み取材から少し離れたところにいたとき、「お、君、まだいたのか」と王氏から話しかけられて恐縮していたシーンを思い出すという。

「写真誌の記者に、ですよ。記者も人の子ですから、簡単に言うと、好きになっちゃうんですよ」

“けじめ”の結婚は、いかにも王氏らしい、という評価だ。

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