そこで重要になるのが、緑茶や紅茶に含まれるポリフェノールの一種であるカテキンです。このカテキンには抗酸化作用があり、発がん抑制、動脈硬化予防、脂質代謝異常の抑制といった効用があるのですが、やはり、認知症にもプラスに働くというのです。

 70歳以上の、今度は日本人1003人を対象にした調査があります。対象者の記憶、見当識、注意、遂行機能などを調べて認知症かどうかを判定した結果、1日の緑茶の摂取量が1杯(100ミリリットル)未満のグループと2杯以上のグループでは差が出ました。2杯以上飲むと、認知症の発症率が54%低下するという分析なのです。

 昔のお年寄りは、何かにつけてお茶を飲んでいましたが、その習慣は意味あることだったのです。コーヒーが苦手という人は、かわりにお茶を飲むようにするといいと思います。

 でも、実は私はコーヒーもお茶も飲まないのです。先日も仕事でホノルルを訪れ、ホテル内のレストランで朝食をとるときに、ウェイターさんが「カフェ オア ティー?」と聞いてきました。

 私の答えはいつも同じで「ノオ! ビィア!」です。

 先日書いたように、酒も認知症予防になるということで、よしとしています(笑)。

週刊朝日  2018年7月27日号

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帯津良一

帯津良一

帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中

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