私は赤ワインはあまり飲まずに、ビールで始まって、次は焼酎かウイスキーです。ですからポリフェノール効果はないのかと思っていましたが、ビール、焼酎、ウイスキーでもいいなら、うれしい限りです。

 私にとって、アルコール自体の効果を補ってあまりあるのが、酒席でのコミュニケーションとときめきです。憎からず思っている女性とたわいのない話をしながら酒を酌み交わし、最後にハグをして別れる。これで十分です。

 ただし、ハグをするときには、自分からでなく、相手が来るのを一瞬、待たなければいけません。それでないと、セクハラになってしまいます。その結果、ただ抱き合うだけでもよいが、頬と頬が触れれば、これはまた格別です。

 生理学者の有田秀穂先生によると、ハグによってセロトニンの分泌が高まり、それにつれて、ドーパミンとノルアドレナリンも分泌されるのだといいます。

 セロトニンには相手を思いやる働きがあり、ドーパミンは意欲をかき立てて、ノルアドレナリンはストレスに対する抵抗力を高めるのだそうです。こんな働きがあれば、ボケてなんていられません。まさに、ボケ防止の三羽烏といえます。

 ほろ酔い加減でセクハラにならないハグ。おすすめします。

週刊朝日 2018年7月13日号

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帯津良一

帯津良一

帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中

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