ルールは時代とともに変化していくものである。新しい可能性が生まれた時に、どう対応するかも問われる。オールスター戦もそう。メジャーの場合は1試合しかないが、二刀流を見たいファンにどう応えるのか。真剣勝負の側面を求めるのならば、容易に選考方法をねじ曲げてはいけないとの意見もある。活発に議論を進めてほしい。

 日本の野球を見ても、投手の打撃に対する意識はまた変わってきたような気がする。「バントができればいい」という考えの投手もいるが、「9人目の野手」として巨人の菅野や中日の松坂のようにバットを選ぶ選手もいる。中学、高校生の中には本気で「二刀流」で活躍しようと決意する選手も数多く出てきている。

 最後に。日本プロ野球は、開幕から2カ月が過ぎ、相手のデータがそろい、各球団の戦い方にも変化が出てくる。大事なことは、投手も野手も「自分を知っているかどうか」と「洞察力」である。「自分を知る」とは調子の良し悪しだけでなく、どういったアプローチができているかを事前準備で見つめ直す作業と修正を図ることだ。そして、試合の局面で相手の動きを感じることである。それをきちんと整理できる選手が相手の研究を上回ることができる。勢いだけでは通用しない時期に入る。今年ブレークした選手が本当の力をつけているのかどうか。真価が問われる。

週刊朝日 2018年6月22日号

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東尾修

東尾修

東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝。

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