室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。自らの子育てを綴ったエッセー「息子ってヤツは」(毎日新聞出版)が発売中
室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。自らの子育てを綴ったエッセー「息子ってヤツは」(毎日新聞出版)が発売中
(c)小田原ドラゴン
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 作家の室井佑月氏は、「ズルくて卑怯」な空気の蔓延する世の中に異議を唱える。

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 現状のメディアのあり方を嘆くと、同業の知人によくいわれる言葉。

「まだ、マスコミが正義だと思ってるの? もっと大人になりなよ」

 あたしのことを思ってくれての発言だと思う。もっと気楽に稼ぎなよ、的な話だ。

 同業じゃない知人に、政治のおかしさを告げれば、

「だから、ってさ。我々が動いたくらいじゃ、どうにもね。世の中の流れなんて変わらない。あんたも、もっと大人になりな」

 などといわれる。

 大人ってなんだ?

 大人とは、長いものには巻かれ、その中でしぶとく生きている人? まわりの空気を読み、決して損などしないように立ち回る人のこと?

 大人であれば、養う家族を抱えていたりするし、その生き方が悪いともいえない。けど、べつに尊敬できたりもしない。あたしが子どもだったら、そんな大人のいうことなんて聞かなくてもいいと思う。

 たとえば、人を殺したり、泥棒をしたりすることは、今はいけないことになっている。

 だけど、人を踏み台にして自分の身を守ることや、ルールをねじまげ卑怯な手段で勝つことが、どうしていけないことなのか、きちんと答えられる大人は少なくなってきているように思う。

 というか、生き残ったほうが正義、消されたほうが悪い、ズルしても勝ちは勝ち、そう胸を張って答える大人が増えているのかも。

 そのうち人殺しでさえ、「バレるから悪い」となるかもね。戦争に行かされ、心身ともにズタボロにされて帰ってきても、

「えっ? マジでおまえ人殺しちゃったの? (命令したけど)俺はやってないから、セーフ」

 そうあっさりいわれたりしてな。「もう大人なんだから、自分の判断でしょ」とかさ。

「改ざん、隠ぺい、廃棄、虚偽答弁。このような悪質極まる行為を引き起こした政権は、安倍政権が歴史上初めてなんです。あなたの政権のもとで一体なぜ、このような悪質な行為が引き起こされたのか」

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室井佑月

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室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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