これは5月30日の党首討論で、共産党の志位委員長が安倍首相に投げた問い。あたしもその答えが知りたかった。

 でも、安倍さんはその問いに答えなかった。質問をはぐらかした。志位さんはもう一度、おなじことを聞いたけど、答えなかった。

 安倍さんが答えないので、志位さんが代わって答えていた。

「国民はみんな知っているんですよ。なぜ行われたかを知っている。総理、あなたを守るためです」

 でもって、トップがズルくて卑怯だから、それに倣って、それでいいんだ、という空気が世の中に蔓延していく。

 あ、それも、あの人を守ることになるのかも。

 世の中の常識がぶっ壊れれば、あの人のズルや卑怯が、さほど目立たなくなるもんね。

週刊朝日 2018年6月22日号

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室井佑月

室井佑月

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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