企業の人事担当者や若手社員と接してきた常見さんは「市場環境がよくない。(どんな業種でも)右肩上がりに伸びる時代じゃない。それまでの成功パターンが通じなくなり、経営者も悩んでいると思う」と語る。厳しい市場環境に加えて、「パワハラの社会問題化もあり、若者の尊厳が守られるようになった。10年代は、(新人)研修や人材マネジメントではほめる系が顕著」(同)。

 人口減や少子化で新卒者の絶対数が年々減る中、市場環境が厳しくなり、多様な人材マネジメントが要求され、育児や介護など休暇制度をはじめとする福利厚生を充実させる点から、今日の現場管理職の働き方は、昔のそれに比べてはるかに難しくなったという見方がある。

 常見さんは「上司の育て方が足りないのもあるし、経営陣も対応できていないのではないか」と指摘し、管理職の研修やフォローは改善策の一つになるという。

 また、売り手市場について常見さんは「今後、中長期的に見れば若者は減っていく。でも求人の絶対量としては、今後も需要が供給を上回る状態がずっと続くと思う」と話す。サービスの機械化や24時間営業の取りやめなどで人手不足を補っている企業もあるが、「需給バランスは業界ごとに違うし、企業の規模や職種にもよるけど……。売り手市場どころか採用氷河期になると思いますね」(同)。社内に社二病一人を抱える不利益は、大きくなる一方だ。

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