私は今回のことに関しては正蔵師匠のほうに理があると思うなぁ。「待った!」を言ったのが正蔵師匠だったから目立っただけで、それ以前に誰も「それ大丈夫?」って言わなかったのかなぁ……とちょっと不思議。それを認めると亭号・屋号がそのうちドガチャガになっちゃうかもですよ。「堅いこと言うなよ」の『堅いこと』がかなり後々重要になってくると思うのです。弟子に名前を継がせたいという好楽師匠のお気持ちもわかりますけど……。
でも一番大変なのは当人の好の助さん。真打ち昇進ってお金がかかります。「林家九蔵」で支度してたのが、手拭いを染め直したり、扇子を作り直したり……けっこうな支出でしょう……。先日、二つ目の春風亭昇也さんに聞いたら、若手のなかで「好の助さんを盛り上げていこう!」という機運が高まっているそうです。仲間がそう言ってくれるってことは、好の助さんに人望があるんだな。ゴタゴタしましたが名前が売れるチャンスだと前向きに考えちゃったほうがいいね。
落語界も相撲界ほど物騒じゃありませんが、こういう出来事がたまにあります。多少のゴタゴタがあるほうが健全な気がするなぁ。個性の強い人間が集まった古い社会ですからね。今回は落語家の『名前』について改めて考えさせられました。楽屋でいろんな先輩・後輩の意見を聴けて勉強になったなぁ。字数に限りがあるので続きはライブでしゃべります。書けねえこともあるんす。最後に言わせてもらうと、好楽師匠は親分肌のめちゃめちゃいい師匠だからねっ!!
※週刊朝日 2018年3月23日号