馬淵監督から名前の挙がった智弁和歌山は、同校の伝統である強力打線が復活の兆し。左のスラッガー林晃汰が右ヒジの手術から快復し、中軸を任される。

 昨年、智弁和歌山は公式戦で大阪桐蔭に3連敗を喫し、苦い1年となった。同じ相手にさらに連敗を重ねることなど、甲子園最多勝監督である高嶋仁監督のプライドが許すまい。高嶋監督は言う。

「大阪桐蔭は、かつてのPL学園を戦力では上回る。だけど見とってください。もう連敗はしません」

 西のチームばかりではない。関東にも大阪桐蔭の対抗馬がある。西谷監督と同じ年で、盟友門馬敬治監督が率いる神奈川の東海大相模だ。同校にとって全国制覇した15年夏以来の甲子園となる。原辰徳、大田泰示……同校の右の大砲の系譜に今年、名前を連ねるのが森下翔太だ。

 全国制覇した縦じまのユニホームに憧れ、1年夏から4番を任されてきたが、本稿で名前を挙げてきたライバルが既に甲子園を経験しているのに対し、森下は今回の選抜が甲子園デビュー。プロスカウトの前で、高校通算44本塁打の記録をさらに更新すれば、一気に大会の主役に躍り出る可能性すらある。

 夏の大会が100回を数える今年は、全国の強豪校がスカウティングに力を入れ、記念大会制覇へ意気込む特別な年だ。

 今年の選抜にこそ出場できないが、横浜(神奈川)の万波中正や早稲田実業(西東京)の野村大樹ら、将来有望なミレニアム世代が、夏の甲子園帰還を目指している。

 延長十三回からタイブレークが導入され、大きな転換期ともなる18年の高校野球で、最も輝く球児は誰なのか──。(文中一部敬称略)

週刊朝日  2018年3月30日号