藤原は中学時代から硬式野球の全国大会で甲子園の土を踏んでいるが、「打った記憶がない」という。柳田悠岐(福岡ソフトバンク)に憧れている彼からしたら、昨年の甲子園通算成績は37打数7安打と、確かに物足りない数字だろう。しかし、史上初の大阪勢対決となった昨年の履正社との選抜決勝では先頭打者を含む2本塁打を放ち、日本一に貢献しているのだ。藤原は言う。

「甲子園は他の球場とは雰囲気が違う。打席に立った感じが、打ちづらいというか、雰囲気にやられてしまう。すべてに力不足です。確かにホームランは打っていますけど、それは偽物の力やと思っています」

 最大の魅力はその足。平凡な内野ゴロをセーフにし、四球で出塁するや即座に盗塁して“二塁打”にしてしまう場面を何度目にしたことか。守りでは打球への反応が速く、守備範囲も広い。

「足と守備だけでなく、バッティング一本で通用する選手になりたいんです。そのためにもホームランにはこだわりたいですね。高校野球では打って当たり前ぐらいに考えています」

 3月に入って対外試合が解禁となっても、ヒザまわりの筋肉の炎症で限定的な出場が続いたが、藤原は「ドラ1でプロへ」の目標を公言する。

「もちろん、今のままではそれもかなえられない。一日一日、悔いを残さず過ごして、甲子園という舞台が自分のこの先を変えてくれると思っています」

 冬場は雪が深まる岐阜県の飛騨高山で育った根尾は、スキーのスラローム(回転)で日本一になった経験を持ち、学校ではオール5の成績で生徒会長を務めたスーパー中学生だった。

「入学したころは、投手で試合に出ることを目指しました。1年秋からは、内外野で試合に出させてもらうことが増えていって、野手として力を出していきたいという気持ちが強くなったというか、試合に出られるならどのポジションでも良いと考えるようになった。今は8対2、いや9対1ぐらいの割合で野手の練習に重点を置いています」

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