明徳義塾の馬淵監督とエース市川  (c)朝日新聞社
明徳義塾の馬淵監督とエース市川  (c)朝日新聞社

 第90回記念選抜高等学校野球大会が3月23日に開幕する。優勝候補の筆頭である史上3校目の春連覇を目指す大阪桐蔭を、明治神宮大会優勝の明徳義塾、攻撃的な布陣を敷く東海大相模と智弁和歌山が追う展開となりそうだ。ノンフィクションライターの柳川悠二氏が、注目選手を紹介する。

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 ミレニアム(2000年)生まれの球児が中心となる今年の甲子園は、春の選抜が90回、夏の選手権大会が100回と、いずれも記念大会を迎える。

 まずは3月23日開幕の選抜で注目となるのが、タレントぞろいの“銀河系軍団”大阪桐蔭だ。

「すべてにおいて、まだまだのチームです。“最強世代”とも呼ばれていますが、私が受け持ったチームだけでも、上から数えて10番目ぐらいの実力しか現時点ではありません」

 大阪桐蔭の西谷浩一監督はそう謙遜するが、日本一を狙う全国の高校野球関係者は苦笑いだろう。

 戦力は突出し、断トツの優勝候補だ。50メートルを5秒7で駆ける外野手・藤原恭大は、入学直後からベンチ入りし、昨年は春夏の甲子園に加え、カナダで開催されたU18W杯でも不動の1番として活躍した。

 さらにミート力にたけ、勝負強い主将・中川卓也(三塁手)が3番を打ち、中学時代に投手として146キロを記録し、入学後は内外野も守る“多刀流”の根尾昂が4番に座る。右の大砲となる山田健太(二塁手)もいて、破壊力は抜群だ。さらに投手陣には柿木蓮や横川凱ら、140キロを超える左右の好投手がズラリ。

 今秋のドラフトにおいては、誰が指名を受けるかではなく、このチームから何人のプロ野球選手が誕生するかに興味が集まっている。単一チームからドラフトで複数指名された最多のケースは、1977年法政大と91年東北福祉大などの5人だ。その記録を塗り替える可能性すらある。

 藤原といえば、昨夏の甲子園で彼から聞いた一言が忘れられない。

「甲子園に来ると打てなくなる。何でですかね……」

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