多焦点眼内レンズで起こることがあるハローとグレア
多焦点眼内レンズで起こることがあるハローとグレア
複数にピントが合う多焦点眼内レンズを用いれば、遠くも近くも見えるようになる
複数にピントが合う多焦点眼内レンズを用いれば、遠くも近くも見えるようになる
多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術(週刊朝日 2018年3月16日号より)
多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術(週刊朝日 2018年3月16日号より)

 薄暗い場所だとモノが見えにくい、小さい文字が読めない……。40~50代を過ぎたあたりで否応なく突きつけられる“老眼(老視)”という現実。年寄り臭く見える老眼鏡には頼りたくない、という人に、遠近両用の眼内レンズやコンタクトレンズなど、最新老眼治療を紹介しよう。

【焦点眼内レンズを用いれば、遠くも近くも見えるようになる】

「老眼治療も進歩し、さまざまな治療法が登場しています」と話すのは、この分野に詳しい宮田眼科病院(宮崎県都城市)院長の宮田和典さんだ。

 老眼は、見たい距離に合わせてピントを自由に変える力、いわゆる「調節力」が加齢などの原因で衰えることで起こる。実は、調節力の衰えは30代後半から始まっている。しかも、レーシックで近視矯正している人にも、老眼は訪れる。

 老眼は「近くが見えにくい」というイメージがあるが、「近くを見た後にすぐに遠くを見るとピントが合わない」「夕方など薄暗いところでは、文字が読みにくい」といった症状も。近視の人は老眼になりにくいといわれているが、調節力は衰えており、老眼に気づきにくいだけだ。

 ではなぜ、ピントが合わせにくくなるのか。鍵を握るのが“水晶体”だ。水晶体は黒目(角膜)の後ろに位置し、水やタンパク質などからできている。直径約9ミリ、厚さは約4ミリで、無色透明の凸レンズのような形をしている。

「近くを見るときは厚くなり、遠くを見るときは薄くなる。見たい距離に応じて水晶体の厚みを変化させてピントを合わせています。ところが、加齢現象によって水晶体の柔軟性が失われると、水晶体が厚くなりにくくなる。その結果、“老眼”という現象が起こってきます」(宮田さん)

 宮田さんによると、残念ながら最新医療をもってしても、水晶体を若返らせて、調節力を復活させることはできないとのこと。

「ですが、その代わりに“別のアプローチで遠くも近くも見えるようにする”というのができるようになってきた。それが、今の老眼治療の考え方です」(同)

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