「若い少年・少女が、キラキラした衣装で、華麗に魅せる。そしてそれを3~5分間、日本じゅうの人が見ている。かつてのアイドルの要素が全てフィギュアに入っています。よく“氷上のプリンス”という言い方をしますが、ルックス、衣装、ポーズ、動き、そして発言、本当に王子様的なんですよね」

 ソチ五輪から4年。23歳になった羽生は、子どもをそのまま大きくしたような宇野の存在によって、より成長を感じさせることができると中森さんは言う。

「あのヒョロッとした19歳の羽生くんが、立派になって、王者としてオリンピックの舞台に帰ってきた。そこに、当時の羽生くんと同じ年頃の20歳の“弟”ができた。弟は兄を『ゆづくん』と呼び、兄は『昌磨』と呼び捨てにしてかわいがる。繊細な兄・羽生結弦と、鈍感で天然でカワイイ弟・宇野昌磨。インタビューなどでも、すべてを繊細に完璧なコメントをする兄、一方で、何考えてるかわからず、『何も考えてませんでした』『転んで笑っちゃいました』と言う弟。それで周囲がずっこけたりして、そんな様子を、横で羽生くんがほほ笑ましく見てるんですよね。性別は違いますが『アナ雪』の主人公のように、2人の王子が氷の上でクルクル回ってキラキラ輝いて。そして競技以外の場所では抱き合ったりたわむれたりする。これは相当萌えると思います」

“弟”宇野の頭をなでなでしたり、メダルのリボンのねじれを直してあげたりする“兄”羽生。そんな2人を「ゆづしょま」と称して愛でるファンも少なくない。中森さんはこう言っていた。

「これからのスケート界というものまでおそらく全部見ていくことになる羽生くんは、そういう意味でもこれからのスケート界の長男であり続けるでしょう。兄がいてくれるから、弟は自分の好きな滑りを自由にできる。そんな2人が表彰台の一番高いところに登った。後輩たちもそれに続く。そんな関係性は素晴らしいですよね」

(本誌・上田耕司、松岡かすみ、太田サトル)

週刊朝日 2018年3月9日号

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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松岡かすみ

松岡かすみ

松岡かすみ(まつおか・かすみ) 1986年、高知県生まれ。同志社大学文学部卒業。PR会社、宣伝会議を経て、2015年より「週刊朝日」編集部記者。2021年からフリーランス記者として、雑誌や書籍、ウェブメディアなどの分野で活動。

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