「よくあるケースは肩や背中の痛みですが、実はこれらは胃腸の機能低下で起きていることが多い。やはり疲労や飲みすぎ、食べすぎが根本にあります。もちろん食べすぎない、ゆっくり休息をとるといった養生が大事なのですが、この時期はなかなか難しい。そうだとしたら、こじらせる前に対応していくことが大切です」(平地さん)

 そこで、この時期に起こりやすい不調に効くツボ(経穴)を教わった。指で押して刺激を加えたり、お灸を据えたりするとよいという。

▼内関(手首のシワの中心から、肘に向かって指幅3本分)
胃腸機能の低下を補うツボ。飲みすぎによる吐き気やめまいなどによい。時間があるときにはお灸を据え、食事会の前や食事中には押して刺激を。

▼手三里(肘の外側のシワから、手首に向かって指幅3本分)
肩コリや首コリ、頭痛を和らげるツボ。特にお灸が向いている。

▼足三里(ひざのお皿の外側の下から、足首に向かって指幅4本分)
消化能力を高めて、食べたものをエネルギーに変える力を高める。就寝前にゆっくりとお灸を据えたいところ。

▼三陰交(内くるぶしからひざに向かって指幅3~4本分)
冷えや、冷えから来るむくみなどに効果的。気になるときに押して刺激を。お灸も有効。

「ツボの位置は人によって微妙に異なり、例えば『指幅3本』とあっても、そこにツボがあるとは限りません。その周囲をそっとなでて、凹んでいたり、乾燥していたりする部分があったら、そこを強めに押してみてください。ズンと響く感じがしたら、そこがツボになります。お灸を据える場所です」(同)

 お灸は怖いと思っている人もいるだろうが、安心を。最近は一般の人でも安全に使えるセルフケア用のお灸も市販されている。多くは筒状になったもぐさの下に台座が付いていて、皮膚にテープで留められるようになっているタイプだ。もぐさが皮膚に直接触れないため、やけどの心配が少ない。

 いくつか紹介しよう。

 セルフケア向けの商品を多く市販するせんねん灸。鍼灸師でもある小泉さんが薦める商品は、火を使わないお灸「せんねん灸太陽」(6個入り610円、税別)だ。お灸特有のにおいもせず、忙しくて時間がないときに、いつでもどこでも手軽に使えるという。

「肌に直接貼って、その上から洋服を着ても大丈夫です。肩や腰、手足などのツボに貼るだけ。仕事や家事をしながら、お灸ができます」(小泉さん)

 続いて、日進医療器の「ユニコらくらく灸」(32個入り1365円、税込み)。広範囲にわたって温熱効果があり、台座が大きいので初心者でも容易に扱える。肩用と腰用、ひざ用の3種類。

 お灸ファンから好評なのは、大和漢の「灸やわら」(200個入り2400円、税別)。もぐさの詰め方にこだわり、最高温度の持続時間が長いのが特徴だ。

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