なお、せんねん灸ではセルフケア向けのお灸教室を、全国各地の提携する鍼灸院でも行っている(※「せんねん灸セルフケアの森」で検索)。ツボの取り方やお灸のやり方がわからない人は、まずはこういう教室で教わってみるのもいいだろう。

 注意したい点もある。

【1】顔面や粘膜、湿疹や傷口には使わない【2】妊娠中の人や糖尿病などで血行障害がある人は、主治医に相談する【3】皮膚の薄い弱い部分には慎重に使う【4】空腹時や満腹時、入浴前後や飲酒後は避ける、などだ。

「特に使い慣れていないときは、『熱い』と感じたら取るようにしてください。燃え尽きるまでガマンすると、やけどをすることもあります」(平地さん)

 お灸を据えながら寝てしまうということがないよう、眠いときも避けよう。

 お灸ではないが、平地さんがおススメするグッズもある。米ぬか、玄米、塩を綿の袋に入れた「湿熱袋」だ。「玄米カイロ」ともいう。これを電子レンジで2~3分ほど温めて、目の周りや首、肩、おなかなどの血行不良を感じる場所にあてる。

「温めるとしっとりしていて、密着感が抜群です。熱は徐々に冷めていくので、そのまま寝てしまっても問題ありません。顔まわりなどお灸ができない部分にも使えます」(同)

 湿熱袋は2千~5千円ほどで市販されているが、自分で作ることもできる。米ぬかと玄米と塩を2対2対1の割合で混ぜ、それを綿の袋に入れ、こぼれないように縫い合わせるだけ。米ぬかのにおいが苦手な人は、袋を二重にし、間にラベンダーなどのドライハーブを入れてもいい。

 湿熱袋を記者も使ってみた。寝る前に目にかぶせると、ふっと力が抜ける。顔の疲れがとれ、表情が少し明るくなった。肩にかけるとコリが和らいだ。

 年末の不調を放置して、気が緩んだ正月に体調を崩して寝込んでしまった──ということがないよう、お灸やツボ押しのセルフケアでしっかり対処しよう。(本誌・山内リカ)

週刊朝日  2017年12月22日号