「日馬富士が『モンゴルへ帰る』と言ったら、奥さんから『子どもの教育があるから、私は日本にいる。あなたがモンゴルで稼ぎなさいよ』とジョークを言われたそうです」(同)

 鳥取での暴行事件はモンゴル人力士ばかりの中で起きたが、彼らが集う場は実は多々ある。年に1度、東京都練馬区の光が丘公園で、モンゴル人たちが1万人以上集まって開かれるモンゴル祭り「ハワリンバヤル」はその一つ。

「白鵬、日馬富士やほかのモンゴル出身の力士たちばかりではありません。モンゴル本国の力士もはるばる来日し、イベントではモンゴル相撲を見せてくれます」(同)

 ほかにも「白鵬杯」という小中学生のワンパク相撲も毎年冬、東京・国技館で開催されている。

「そのときはモンゴル出身の現役力士が一堂に集まり、日馬富士も貴ノ岩も照ノ富士もみんな来て会場の手伝いをしていました。白鵬は冬巡業で浴衣ではなく、“MONGOLIAN TEAM”と記された青いジャージーを着て批判をされましたが、モンゴル人力士の結束は強いです」(同)

 木原住職はこう懸念を抱いている。

「騒動で角界は貴乃花と白鵬との戦いみたいに報じられています。モンゴル勢を一掃するような世論になりはしないかと心配しています」

(本誌・上田耕司)

※週刊朝日2017年12月22日号より抜粋、加筆

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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