ちなみに私は午後9時半に就寝、午前3時に起床です。睡眠時間は5時間半なのですが、すでに81歳なので、調査の平均睡眠時間と一致しています。

 午前3時に起きて、原稿の執筆や校正にとりかかりますが、この時間は実に仕事がはかどります。朝8時半からの診療開始の前に、様々な個人的な仕事をこなしておかないと、診療が終わる午後6時から晩酌をスタートできません。ですからこの時間は重要なんです。

 ところが、外来で診療していると、途中で睡魔におそわれることがあります。そういう時は迷わず5分ほど昼寝をします。すると、じつに壮快な身心が蘇ってくるのです。

 実は益軒先生は「昼は必(かならず)臥(ふ)すべからず。大(おおい)に元気をそこなふ」(巻第二の5)と昼寝も禁止しています。

 ただ、さすが益軒先生、こう続くのです。「もし大につかれたらば、うしろによりかかりてねぶるべし。もし臥さば、かたはらに人をおきて、少(すこし)ねぶるべし」(同)。つまり、少しだけの昼寝はいいというのです。

 ちなみに私は、外来の机の上に足を乗せて、パッと寝ます。これなら益軒先生も許してくれるでしょう。

週刊朝日  2017年9月22日号

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帯津良一

帯津良一

帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中

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