「肩こりの根っこにあるのは全身のゆがみ。そこを何とかしなければ、いくら姿勢に気を付けていても、一時的には良くなっても、もともとある“肩こり体質”は解消されません」(同)

 竹井さんによると、長年の肩こりや繰り返される肩こりは、昔の足の捻挫や腰痛、腱鞘炎(けんしょうえん)、骨折などのケガによって、肩周りの筋膜が緊張することで起こるという。

 その理屈はこうだ。ケガをすると、一時的に動かさなくなったり、治ってもその部分をかばったりするようになる。筋膜は動かさないと硬くなっていく。筋膜は立体的につながっているボディースーツのようなものなので、一部の柔軟性が失われれば、他が引っ張られ負荷がかかる。その結果、広い範囲で硬くなり、血行不良も生じ、痛みやコリなど不調が出てくるのだ。

「とくに、何十年も前のケガは要注意です。私も高校生のときに左膝の半月板を損傷したのですが、いまと違って、治療といっても湿布と安静というシンプルなもの。そのケガが完治しなかったのでしょうね。膝をかばう生活を続けた結果、大人になって腰痛や首や肩のコリに悩まされることもありました」(同)

 医療機関でも定期的に施術を行っている竹井さんによると、五十肩による肩こりが、5年前の足首の捻挫が原因だった女性患者もいたそうだ。慢性的な肩こりに悩んでいる人は、一度、昔のケガを思い出すことから始めるとよさそうだ。

 一方、そうしたきっかけが思い出せない、そういう経験をしていない人の場合は、バッグをいつも同じ側で持つ、同じ足を組むなど、日常生活のクセが肩こりにつながっている可能性を指摘する。

「全身の姿見を使って左右のバランスを見てください。起立したときに首が片方に傾いていたり、肩や骨盤の位置に左右差があったりする人は、肩こり体質の可能性が高い。姿見がない場合は、スマートフォンなどで全身の前から横から後ろからと写真を撮ってもらい、それをチェックするとよいでしょう」(同)

 こうした体のゆがみからくる肩こりに対応できるとして注目されるのが“筋膜リリース”だ。硬く縮まった筋膜を引っ張ったり、ねじったりして動かしていくことで、筋膜を柔らかくしていく。

週刊朝日 2017年5月19日号より抜粋