国立大2次試験 (c)朝日新聞社
国立大2次試験 (c)朝日新聞社

 受験について「県民性」というのは存在するのだろうか。入試に強い県、弱い県について、男女別で見てみよう。

 地域特性は男女別の大学進学率でも浮かび上がる。

 4年制大学への進学率を男女で比べると、北海道は男子42.2%、女子33.2%。男子のほうが大幅に高い。43道府県は男子が女子より高く、4都県は女子のほうが高かった。

 徳島県は女子の進学率が4.8ポイントも高い。駿台教育研究所の石原賢一さんはその理由を「よい女子大がある地域は女子の進学率が高い。徳島では、短大全盛の1966年、徳島女子大(現徳島文理大)と四国女子大(現四国大)と二つも女子大が開学していた」と指摘する。

 両大学は裁縫・洋服の学校が起源で、ともに「女性の自立」を掲げた。今は両大学ともに共学だが、徳島は女子教育の意識が高い地と言える。県民性に詳しく『名古屋の品格』などの著書がある岩中祥史さんはこう語る。

「“阿波女”は、気が強くて活動的でしっかりもの。大学まで行って勉強する女性が多いのも、自然なことでしょう」

 東京も女子が男子より高い。大阪府は男子57.4%、女子51.4%と男子のほうが高い。東西の両都市の姿は対照的だ。石原さんは「NHKの連続テレビ小説『花子とアン』『あさが来た』に、東京と大阪の違いがよく表れている」という。

『赤毛のアン』を翻訳した村岡花子が英米文学を学んだのは、東京の女学校。広岡浅子は学問に興味を持ちながらも、大阪の豪商に嫁いで実業界で身を立てた。

 浅子が設立にかかわった日本女子大は、日本初の女子高等教育機関。大阪につくる計画も当初あったが、最終的に東京に設立された。大学での女子教育が進んだ東京に対し、大阪は専門学校での職業教育が定着。東京と大阪で、女子教育は違う歴史を遂げたという。

 大阪は過去10年間で、東大・京大合格者が激減した。石原さんは「大阪には女子が通う中高一貫のよい進学校が少ない。優秀な女子が京都や奈良に出てしまっているのでは」とみる。

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