「天下をとったような気分」作家・平野啓一郎が明かす

林真理子

2017/04/18 11:30

平野啓一郎(ひらの・けいいちろう)/1975年、愛知県生まれ。京都大学在学中に文芸誌「新潮」に投稿した「日蝕」により99年、芥川賞を受賞。以後、数々の作品を発表し、各国で翻訳紹介されている。2004年には、文化庁の「文化交流使」として1年間パリに滞在。08年から三島由紀夫賞選考委員、写真の町東川賞審査会委員を務める。14年、フランス芸術文化勲章シュヴァリエを受章。『葬送』『滴り落ちる時計たちの波紋』『決壊』『ドーン』など著書多数。最新長編小説『マチネの終わりに』(毎日新聞出版)を16年4月に刊行(撮影/岡田晃奈)
平野啓一郎(ひらの・けいいちろう)/1975年、愛知県生まれ。京都大学在学中に文芸誌「新潮」に投稿した「日蝕」により99年、芥川賞を受賞。以後、数々の作品を発表し、各国で翻訳紹介されている。2004年には、文化庁の「文化交流使」として1年間パリに滞在。08年から三島由紀夫賞選考委員、写真の町東川賞審査会委員を務める。14年、フランス芸術文化勲章シュヴァリエを受章。『葬送』『滴り落ちる時計たちの波紋』『決壊』『ドーン』など著書多数。最新長編小説『マチネの終わりに』(毎日新聞出版)を16年4月に刊行(撮影/岡田晃奈)

 著書『マチネの終わりに』が話題になっている平野啓一郎さんが、林真理子さんと対談を行ないました。作家同士、共通の知人も多いお2人ですがじっくりお話するのは今回が初めて。京大在学中のデビュー当時のエピソードから幼少期まで、真理子さんが迫ります。

*  *  *
林:平野さん、デビューして何年ですか。

平野:19年ですね。来年20年なんです。1998年に23歳でデビューしたので。

林:もうそんなにたちますか。茶髪にピアスで、マスコミからずいぶん騒がれましたよね。

平野:それであの小説ですからね。いまでも人に会うと、「はじめまして。『日蝕』買いました。漢字が難しかったです」って言われます(笑)。今回の小説で、そのイメージがちょっと変わるかもしれませんが。

林:たしかに、いつものナイフでちょっと違うものを作った、という感じがしますよ。デビューしたときは、まだ京都大学の学生だったんですよね。新人賞とかじゃなくて、いきなり文芸誌「新潮」に載ったというのもカッコいいですよ。

平野:「新潮」の編集長に手紙を書いたんです。手紙も一種の文才の表現の場だから、この編集長の心を動かせないようではダメだと、これを読んだらどんな人間でも原稿を読みたくなるだろうという手紙を、一生懸命書きました。

林:素晴らしい。もちろん手書きですよね?

平野:はい。ときどき、僕のホームページ経由で「小説を書いたので読んでください」というメールが来るんですが、そのメールの文章がまずおもしろくない。「同じものをいろんな人に送ってるんだろうな」というコピペみたいな文章で、ぜんぜん読む気になれない。「読むな」と言われても読みたいぐらいのタイトルと文章にしないとダメだと思いますよ。

林:わかります。手紙って人の心を動かしますからね。平野さんはデビューしたとたん、あれよあれよという感じで人気作家になりましたけど、当時はちょっとテングになっちゃったりもしました?

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